わたしを救ってくれた大切な小説
忘れられない大切な小説がいくつかあるが、中でも三浦綾子さんの「塩狩峠」と「氷点」は、いろんなキッカケをもらった小説だ。
高校に入学して、いきなり、激しいいじめにあい、学校に通うのが大変に感じ、なぜ、こんな思いをしても高校に通わなければいけないのか?
もしかしたら、一生、辛いままなのではないか?
だとしたら、生き続ける意味があるのか?と思っていた。
勉強の嫌いな人が多い高校だったので、図書室に行く人は居ないと言ってもいい。
だから、ひとりになるには絶好の場所だった。
本は好きだったので、人のいない図書室で小説を探していた。
そして、そこにいた先生に「塩狩峠」を薦められた。
読み終わってから、しばらくは呆然としてしまった。
明治に起こった鉄道事故を基にした話で、鉄道会社で事務をしている主人公が、乗っていた列車が暴走し、その列車を止めるために、自らの命をかけたという内容だ。
知らない人たちを助けるために、自分を待っている人や自らを犠牲にする。
多少の躊躇はあったかも知れないが、それをあっさりとやってのける。
人のために動くことは、こんなにも人の心を打つのかと、なんとも言えない気持ちになっていた。
わたしにも、何か人の役にたつことが出来るかも知れない
そう思った。
できるかも?ではなく、出来るはず。しなければ!と思った。
それ以来、三浦綾子さんの小説に夢中になった。
「氷点」は難しかった。
だから、何度も何度も読んだ。
それでも、難しかった。
自分は決して悪くないと思い、真っ直ぐに生きてきた主人公が、そんな自分の中にも「氷点」があったと気がつく。
「氷点」と氷点のテーマの「原罪」。
「続 氷点」での「ゆるし」。
その言葉の重さを感じて理解することが、なかなか出来なかった。
教会にも通ってみたが、分からなかった。
今も出来ていない。
でも、どんな聖人だとしても、原罪がある。
そのことは分かる気がする。
わたしはクリスチャンではないし、何の宗教も持っていない。
でも、わたしの中に、たくさんの罪が隠れていることは知っているし、他の人にもお見通しだ。
そして、人を赦すために様々な試練が起こっているのかも知れない。
わたしを救ってくれた大切な小説。
ありがとうございます。
感謝いたします。