肉体がなくなった後はどうなるのだろうか?
子供の頃から、人の「死」ということに異常なくらい興味があった気がする。
興味があるというのは、少し誤解を招く表現だが、「死」そのものではなく、肉体がなくなった後、どうなるのか?ってことに興味があった。
魂というものになり消えると聞き、本当に消えるのか確かめたくなった。
庭に白い蝶々が命尽きて落ちていた。
本当に消えるのか確かめるチャンスだと思い、紙にくるんで庭に埋めた。
アイスのスプーンに「ちょうちょう」と書いて、蝶々のお墓の上に刺した。
何日くらいで消えるのだろうか?と、母に聞いてみた。
「何やってんの?」と怒られて、しばらくは消えないと教えられた。
「しばらく」とは、どれくらいなのか分からない。
多分、10日くらいで掘り起こしてみた。
まだ、形があった。
魂とやらは、もう天に昇ったのだろうか?
それとも、形があるのだから、まだ土の下にあるのだろうか?
そんなことを考えながら、また土をかけた。
「しばらく」とは、もっともっと時間の経過が必要らしいと知り、それから数日は忘れようとした。
しかし、子どもの頃は時間の経過が遅い。
子どもの時間で「しばらく」な日数が過ぎたので、また開けてみた。
土色に染まり、ボロボロになった紙の中には蝶々はいなかった。
魂になったのだと思って安心した。
今から思えば、紙にくっついたのか、一度掘り起こした時に、ボロボロになったのか溶けたのか…って気がするが、とにかく安心した。
肉体が消えても大丈夫なんだと感じた。
消えているのに不思議な感覚だが、無くなったとしても、残るものがあるのだと心が温かかった。
でも、その反面、なんとも言えない悲しみと虚しさに襲われた。
わたしは、誰かに埋めてもらえるのだろうか?
思い出してもらえるのだろうか?
そんな悲しさだった気がする。
そして、白い蝶を見ると悲しく虚しい風が胸の中を通るようになった。
感謝いたします。