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絵本レビュー:『おたのしみじどうはんばいき』

今回も、画像はアリス館さん/絵本ナビさんの試し読み範囲をお借りしてましてよ。


前に『おもちちゃん』の原画展に向かうにあたり、何故か作者だけでなく編集さんにも手紙を書こうというサプライズを企画し、手紙を書く為に作者買いならぬ編集買いをしたという本である。

経緯こそやや特殊だが、これも買ってよかった本のひとつだ。そろそろレビューを作ろうと思う。

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改めて、タイトルは『おたのしみじどうはんばいき』
出版社はアリス館、作者は宮知和代さん。
あとがきによれば、これが宮知さんの初めての絵本だという。ほほー。

主線のない、厚紙を貼り付けたようなイラストが可愛らしい。
主人公の男の子は、ジュースが飲みたくてこの自動販売機のボタンを押す。自動販売機には数字のボタンと缶のイラスト、そして『なにがでるか おたのしみ』だけ書かれている。
(コインを入れる場所はあるけど、お金はいらないのかしら?笑)


この2ページだけで、大人ならなんとなく絵本の傾向はわかってもらえるかと思う。『いち』のボタンだから『いち』ご。では『に』のボタンは……?

って言うとさ。
みんな口を揃えて「にんじん?」って言うんだよ。いやだわもう、大人ってどうしてそう発想に捻りがないのかしら。
まぁ私もにんじんだと思ったけど(笑)。

ほら、もっとみんな考えて。
自動販売機から出てくる、アレだよアレ。缶の色もヒントだよ。子どもがみんな大好きな、『に』が頭につくやつ。



わかった?


正解はー……(ドラムロール音)





『にんじゃ』です。

にん にん にんじゃ
にんぽうつかえる にんじゃだよ


いやわかるかそんなの!笑
それも1人じゃないの。
もう画像載せないけどさ、「やっ」「はっ」「しゅっ」「とう!」とか言いながら、さっきのいちごみたいにごろごろわらわら出てくる。この自販機のサイズ感どうなってんのとか、もう突っ込むのも野暮である。

これは『おたのしみじどうはんばいき』の作者…ではなく、編集さんに描いてもらった忍者。前のnoteでも載せたけど再掲しちゃうw



こうなってくると、主人公の男の子も「次は何かな」ってワクワクしちゃう。読者も同じようにワクワクしちゃう。ちなみに私はこの「忍者は予想できねぇわ……!」の部分で購入を決めました。いい意味で予想を裏切ってくれる本大好き!

そんで絵を見てもらえると気付くかもしれないけど、この絵本は縦開きになっている。
いちごが大量にゴロゴロ出てきた絵、なるほどあれは横じゃなくて縦にしたいよね。横で表現しようとすると、大量のいちごに流されてる男の子の絵とかにせざるをえないと思うんだけど、それは違うでしょ、そうじゃない。男の子の視点で、ドドドドと迫り来る大量のいちごを体感できるから良いのだ。えぇ、縦開きで絶対に正解だと思います。電子書籍ではない、紙の絵本ならではの強みを感じるねぇ。

さて、では『3』は?
その次は?
ここからは紹介しないから、気になる人は是非本屋さんへGO。んふふ。

ちなみにこの手の本は『1〜10』で終わりがちだけど、宮知先生は更にもう一工夫入れてくださっていて、そこもすごくよかった。
ボタンを押していく間も、いちごやら忍者やらはずっと消えずに周りでわちゃわちゃしてくれているので、そのへんも楽しい。『いち いち いちご』とかのリズム感もすごく好きなんだよな……とん、とん、タタタン。子どもも真似やすい、耳に残るリズム。好き。

また今度、娘に読み聞かせようっと。

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