うれしすぎるひと言
日曜日、隣町の無人駅にあるコーヒースタンドへふらりと立ち寄ってみた。注文してベンチに座って待っていると次のお客さんがやって来た。
見慣れた後姿に「こんにちは」と声をかけてみる。「あ、ウオッチの」覚えていてくれた。
「ずっと休まれてましたよね?お怪我は?」
「ほぼ良くなって店も再開しました」
「じゃあまた行きますね‼︎」
という会話を交わした後、あっ!と思った。
他のお店で客引きをしてしまったような感じでちょっと後味が悪いな、と思いつつ運転席で香りの良いコーヒーをすする。
その2日後、そのご夫婦が来店した。
「すみません。この前はお声かけしてしまって」
「声かけてもらって嬉しかったです」
いつものようにブレンド2つとサンドイッチを注文して
テーブルから「やっぱり美味しいねえ」「音がええね」との会話が耳に入り心でガッツポーズ。いつものようにササっとコーヒーを飲み干しお会計へ。
「やっぱりここのは美味しい。流石です」
と言われ
「次はあそこへ行きます」と言って隣町へ向かわれた。
隣の県からドライブがてら遊びに来るお2人。
「流石です」のひと言が嬉しくてこの日は一日中
「流石です」のひと言を牛の反芻のように思い出しては噛み締めていた。
店を続ける上での喜びは
こういうところにあるのです。