天使の寝顔
実を言うと少し面倒くさいとも思っていたチロの世話。チロは生前母が飼っていた犬で猫派の私にはそこまでの愛情は湧かない。と少し冷めた目線ではあった。
夜中の徘徊。
ふと器の前に立ち止まって空の器に鼻を突っ込んでガリガリやっている音で目が覚めた。
次はねこの器に移動して何やらガリガリやっている。水入れを踏んでひっくり返す音に私も起き出してカリカリを入れて少し持ち上げてやると
全身でガツガツと食べ始めた夜中の3時。
生きるってこういうことだ。
食欲はあるけど21歳の体は少し痩せている。
その体全身で一生懸命食べている。
3日前の夕方帰るとぐっすり寝ていた。
3時間経っても4時間経っても起きないので
さすったり顔の下に手を入れてみる。
不安になって茹でたササミを鼻先に持ってくると2本ペロッと食べてしまった。
生きようとする力。
少し起き上がりおしっこウンチをしてまた横になる。心配したけど朝にはケロっとしていた。
介護の日を重ねるごとに愛情が増してくる。
もっともっともっと元気でと思う。
おしっこもらしてもぎゅっと抱きしめる。生きている証拠だ。
日々を重ねるうちに無償の愛を重ねるうちに
自分の気持ちが柔らかくなっていくのを感じる。
何をしても許すそして愛す。
「この夏越せんかも」
「この冬越せんかも」
と言うダンナを見返してやろう。
チロもっともっと頑張るで。