#102. 英語では、形容詞にも序列がある
形容詞の序列について昨晩遅くに質問を受けた。
日本語では「青い大きな時計」と言っても「大きな青い時計」と言っても、とくべつ違和感を覚えないのだが、
これが英語だと “a big blue clock” と言わなければならず、“a blue big clock” は英語ネイティヴの耳にはしっくり来ないらしい。
ためしに Google Ngram で、“a big blue” と “a blue big” の生起頻度を比べてみたが、見事にこの通り、正統な “a big blue” に対して “a blue big” は地を這うような頻度でしか出てこない。
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Cambridge Dictionary によれば、英語における形容詞は、以下の順番で出てこなければならい:
1. Opinion (ex. unusual, lovely, beautiful)
2. Size (ex. big, small, tall)
3. Physical Quality (ex. thin, rough, untidy)
4. Shape (ex. round, square, rectangular)
5. Age (ex. young, old, youthful)
6. Colour (ex. blue, red, pink)
7. Origin (ex. Dutch, Japanese, Turkish)
8. Material (ex. metal, wood, plastic)
9. Type (ex. general-purpose, four-sided)
10. Purpose (ex. cleaning, cooking)
ただ実際には、形容詞を 4 つ以上並べることなどそうそうないし、3 つまではよく使うとしても、その際この順番を逸脱しても通じないということはないので、ノンネイティヴとして一体どれほどこのルールにこだわるべきかはよくわからない。
また、こういった「言葉として自然かどうか」の判断において絶大な権威を持っているネイティヴスピーカーにも、「なぜそのような順序でなければならないのか」ということは皆目見当がつかないようだ。
言語のルール、たとえばこういう文法規則や単語のつづりというものはいつも、「理屈」によってそうなっていると思いがちだが(もちろんそういう部分もあるが)、意外と「慣習」によってそうと定まってしまったものも多い。
「よくわかんないけど、いままでそうやって言ってきた(言われてきた)から」みたいなことで、それが正しいと見なされる。
形容詞の序列の「しっくり来ない感」は日本人にはあまり理解しづらいものだが、例えて言うなら、「油と水」と言うよりも「水と油」と言う方がいいし、「カメとウサギ」と言われればすぐに心の中で「ウサギとカメ」に訂正したくなるような、きっとその手の感覚に近いのだろうと思っている。
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なお、日本語では「水と油」が「正統」な語順だが、これは英語では “oil and water” と逆で言う方が一般的なので注意が必要だ。
順番の問題はとかく悩ましい。