リンパ管腫/手術回顧録1.手術に至るまで
今年の夏、念願の舌切り雀になれた。うれピヨ。
大きく口からはみ出していた舌をバツンと切除、おまけに顎の腫瘍も切ってもらった。
今までは硬化療法(薬剤を腫れた部分へ注射する治療)をメインにしていたが、やはりその方法は地道な歩みが過ぎて靴擦れが起きた。
私はうつ病を持病に持っているため病的ネガティブで生きている。
舌が大きいことによって年齢を重ねるごとに摂食障害が酷くなっていた。(食べづらい、歯がもろい等)
リンパ管腫が関係しているのか分からないが、先天性永久歯欠損が多かったし、それを今の今まで治療してくれる歯科医がいなければ、治療すべきという危機感を持ってない私もいて悪循環が二乗されていた。
それが手術しようと思った発端である。
一度でも「今のままじゃ私はどうなるのだろう」と考え始めれば、全身の毛穴が逆立つ恐怖が私を支配してしまった。もともと希死念慮が親友の私は〝いつかの死〟を糧に今日まで生きている。過去に未遂に終わったそれから、私はどうにか這いずっても生きていかないことを知らしめられた訳だが、だからこそ今後這いずっていく〝人生〟は何とぞ穏便でありたかった。
そんなところにリンパ管腫に伴う色々が、一片の影を落とすなんて想像しただけで卒倒ものだった。
私はその日、祖母に「どうにもしんどい。このままでは生きるのが辛い」と泣きついていた。
しかしながら手術を決意して、診察室を目の前にしている心は非常に凪いでいた。ごちゃごちゃ考えていることに疲れていたこともあるし、この手術に期待をしてはいけないという俯瞰の自分が私の感情を抑制していた。もちろん病状を良くすることは健康に繋がる。でも今考えれば、私はこの手術を、一時のこの天井まで付き上がった希死念慮を治めるための精神安定剤として使っていたんだと思う。
二十年来の付き合いであるA先生は何の滞りもなく手術の内容、日程をスルスル決めていた。私はというと何だかんだ五年ぶりに会うA先生に激しく人見知りし、吃音が口から零れているだけだった。