日刊ほぼ暴力#343
丸太のような腕が叩きつけ、アスファルトが轟音を上げて砕け散る。
「おおッと」
礫のように飛散した欠片に頬を浅く切られながら、その女は瞳を爛々と輝かせて笑った。
「危ないなあ。面白いなあ!」
攻撃を避けるために後退したのも束の間、すぐさま地を蹴って前へ跳ぶ。狙いは今まさに己を叩き潰そうとしたその腕。アスファルトの亀裂に埋まりこんだ隙を逃さない。女は担ぐように構えた得物を振りかぶる。それは彼女の身の丈ほどもあり、質量は彼女の倍ほどもあるように見える、巨大な戦斧。女は軽々と斧を水平に構えて疾走、怪物の手首に肉薄すると、目にも止まらぬ速度で斬りかかる!
だが、埒外の速度を持つのはその怪物も同様だった。轟、と空気を割りながら巨腕が持ち上がり、斧の斬撃は紙一重でかわされる。空ぶった斧に引きずられるように、女の身体が振り回される……否。
「あッは」
空気が漏れるような笑い声。空振りは想定通り。そのままハンマー投げのごとく数回転、振り回した斧を投擲! 鋭い軌道を描いて宙を切り裂いた刃が、腕を持ち上げてがら空きになった怪物の胴体に突き刺さる! 貫通! 割れた背中から黒い血飛沫が噴き上がる!
(483文字)(続かない)