日刊ほぼ暴力#357
黒い血に濡れたバトルアクスを亡者の脳天に振り下ろす。頭蓋が脆く圧し砕け、腐れた脳が飛び散った。止まぬ雨と血にぬかるむ大地に倒れ、虫のようにもがきだす骸に目もくれず、彼は既に次の亡者に向き直っている。汚れきった彼の鎧にしがみつこうとする骨と皮ばかりの手を振り払い、よろめいたその敵の首を荒々しく切り飛ばした。黒い血と腐臭が溢れ出し、首を失った身体は大地に転がって、やはり虫のように手足を見苦しく動かしてもがく。脳を切り離してしまえばこのようにしばらくは起き上がってこない。だが、いずれは残された胴体の中で新たに脳に相当する器官が発生し、再び自由に四肢を操り始める。見よ、息を荒らげながら彼が睨みつける先を。あるいは首を、あるいは手足を、あるいは胴体を半ばから引き裂かれ、なおもうぞうぞと蠢く無数の影たちが、まるでひと塊の肉の津波のように、この場のたった一人の生者である彼へと押し寄せてくる。彼の仲間はここで皆死んだ。彼の指揮官だった男も。あれからどれほど時間が経っただろう。雨はまだ止まぬ。火を放ち、奴らを焼き払う作戦はもはや実行不可能。残されたのはこの斧一本。守るべきものは、己の命一つだけ。
(496文字)(続かない)