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ジェーン・エア * 読んだ

またまたイギリス文学。
そして孤児院の待遇の酷さ 再び。

なぜイギリスはこうも、孤児院や救貧院がアウシュビッツ状態なのか。
決まって食事が粗末で不味い(腐っている場合もある)、教師による過剰なまでの虐待や理不尽な懲罰などなど。

しかし同じ過酷な状況が書かれているのに、今回は最後まで読めた不思議。

オリバー・ツイストとの違い
・一人称で書かれており、主人公の気持ちに入り込めた。
・少ないながらも友人や味方の登場の仕方が現実的だった。

ジェーン・エアの方がリアリティがあり、主人公の気持ちに入り込める物語だったため、くじけずに読了できたのだと自己分析。

ネタバレ覚悟で、思ったことを一つ。
「屋敷のどこか遠くで聞こえる声」という雰囲気の謎が出てくるのだが、ディケンズ短篇集の『狂人の手記』を思わせる設定だと思った。
時代的に同時期の作家故に影響しあっている可能性もある。

時代的にはもっと後の『秘密の花園』も、孤児が預けられた屋敷で謎の声を聞くという設定が似ていて、ジェーン・エアを下敷きに書かれたという説もあるようだが、ソースは不明。
同じイギリスの女性作家として歴代の作品に影響を受けた可能性は大いにある。

全体的に登場人物の性格が極端だったり、思い込みが激しかったりで、そこは現実味に欠ける残念な部分。
解説によると、著者のシャーロット・ブロンテ自身が極端で批判家だった個性が投影されたものとされている。

やや似た設定の物語という意味では、『秘密の花園』の方が前向きな気持ちになれて、読後感は良かった。