『Domestic Science』発売記念・takyaディスコグラフィ②/2014-2021, NewMasterpiece編
CD発売より1ヶ月が経過した『Domestic Science』、ひとまず界隈での評判は概ね好評のようでありがとうございます。彼を知らないテクノ好きにこれをどうやって広めるかが今後の課題です。
takyaの過去作ディスコグラフィに続き、このページでは過去に本レーベル〈New Masterpiece〉のコンピレーションやリミックスなどへの提供曲を紹介していきます。
ちなみに私が初めて彼に曲を要請したのはレーベル設立以前2012年にリリースしたテクノ・コンピレーション『Bleeping Subway』からですが、こちらは現在配信しておりません。CDはAmazonなどでまだ注文できるようです。
① WOODMAN+hitachtronics / warrior angel (takuya's peak a boo mix)
[nmpDATA007/WA300] Warrior Angel 3.0 (2014/3/12)
オリジナルはWOODMANによる、シンプルな構成のループ曲を1曲収録31枚分+リズムトラックのフルアルバムを1枚分を全て同じBPM140で制作、2つ以上のトラックを同時再生させる事でDJツールを使用せずとも毎度違ったグルーヴを楽しめるという、32枚組の大作『Warrior Angel 2』(2011/CDRBOX仕様、2014年1月にデータ配信開始)。その続編となるこの盤は、レーベル発足直後にWOODMANが身体上の都合で活動休止を余儀なくされたため急遽企画したリミックス/リコンストラクションシリーズの1作目だ。
タクヤはBPMを90に変更し、彼がwillowy名義で発表していたヒップホップをWOODMANの音のみで構成し直したようなトラックを提供、砂原良徳『LOVEBEAT』を少しだけ彷彿とさせられるのも面白い。
② Asuka Tanaka / fairway/far away (Remixed by takuya feat. mcCOM.)
[nmpDATA026] Emergence: Bombycoidae (2015/7/1)
歌の先生になる前、Electronica期のageha1980のリミックスアルバムから。オリジナル『Chrysalis』は2013年に〈balen disc〉からリリースされたCDで、発売直後にリミックスを企画され、各アーティストに発注・制作されたものの、諸事情で延期され続けていたところを本レーベルが拾った。
『Version City Episode』の頃のTanzmuzikの影響が伺えるつんのめるようなインダストリアル・ビートの上に日本語ラップが載っているが、このmcCOM.はタクヤの地元の先輩という"設定"のラッパー名義で、単独作こそ無いが作品を数曲残している。
③ takuya / Deinocheirus
[nmpDATA038] 架空の恐竜展 (2017/8/2)
本レーベル初のショウケース的コンピレーションから。各参加者には敢えてタイトル無しで曲をご提供いただき、曲のイメージに合った恐竜の学名を私hitachtronicsがつけるというコンセプトで、デイノケイルスは長い爪を持つアリクイとアヒルが合成したような容姿の巨大恐竜。Black Dogの2010年代版とも思わせられる複雑怪奇な変拍子ビートものだが、この時点で『Domestic Science』に繋がるソフトシンセでのトラックメイキングを始めている。
④ DJ Erimakitokage with prankish potato / Quetzalcoatlus (Pterosauria)
[nmpDATA038] 架空の恐竜展 (2017/8/2)
③と同じコンピからの提供曲で、"下世話なエレクトロ"を標榜するDJエリマキトカゲ名義。"with prankish potato"とはカシオトーンのリズムに乗せてWOODMANが穏やかに喋り歌う遺作「母音音頭」の名義「うっど漫まんといたずらポテト」に因んでつけられたもので、WOODMANの逝去後、大阪の友人らしき人物よりうっど家に突如届いたKORGのアナログシンセ・MS-20をお借りし、その音を取り込み使用。実は1997年に作った曲のリメイクで、ゲームソフト『オホーツクに消ゆ』のBGMの影響があるとのこと。さらに「翼竜をイメージした」とも語っていたが、翼竜は生物学的には恐竜の定義外であるため、ボーナストラックの扱いである。
⑤ takuya / After the Gaggae
[nmpDATA043] Raggae for Airports: Central (2017/11/8)
Diploが作ったデモにリアーナが言い放った「空港でかかってるレゲエみたい」という揶揄から転じ、エレベーター・ミュージック的解釈のレゲエを指して発想された"エアポート・レゲエ"という趣旨のコンピレーション。因みにこの定義の発案者は奈良のFranz Snakeさん。
謎のナレーションのサンプリングと硬いビートに少しインダストリアルみを感じるが、聴き心地は爽やかなレゲエチューン。
⑥ takuya / I Know…
[nmpDATA053] Museum,Zoo,Station (2019/7/27)
本レーベルのショウケース的コンピ2作目、WOODMANの地元であり主宰の好きな街でもある"上野"がテーマ。
BPM140で疾走する、タクヤの楽曲には珍しい2 stepのトラック。そういえば、この曲に関してはなんで2 stepだったのか、何が「わかってる…」のか、本人に問うたことがなかった。
⑦ takuya / Timetunnel
[JPR03] ELEPHANT ROOTS TRIBUTE 2221 (2021/8/10)
オリジナル『ELEPHANT ROOTS』は2001年〈不知火〉より発表された古代象をテーマにしたDUBコンピレーションで、オリジナルも本作も各参加者にはKIBAMAN名義の1曲目をリミックスしてもらうというコンセプトになっている。
コロナ禍に突入し、既にタクヤは『Domestic Science』の制作中だったため、前述KIBAMANの音源以外はDEXEDのみを使用したトラックメイキングになっている。曰くジャーマンロックを意識したそうだが、どこかしらトロピカルな感触がある。
【EVENT INFORMATION】
“New Masterpiece”
takya『Domestic Science』Release Party
2024.9.27(Fri)/23:00- at Hatagaya Forestlimit
Charge: ¥2,000.-+1D Order
DJ:
takya / Cherryboy / 坂田律子 / showgunn
LIVE:
Acidgelge as 909state
EARTH 0 (buffalomckee+セキグチサトル)
というわけでリリースパーティーを開催いたします。takyaのかつてのレーベルメイト・Cherryboyをはじめ、takyaの主催レギュラーパーティーだった『歌舞伎町ラウンジ』から坂田律子さん、そしてデビュー当初からtakyaの音源を聴いており、今作にもとても真摯な推薦コメントをいただいたshowgunnといった新宿BE-WAVEに通っていた人ならおなじみのDJ陣に加え、最近マシンライブでの活躍が目覚ましいAcidgelgeこと909state、WOODMANのカセットレーベル〈JAPONICA〉の後継者buffalomckeeもセキグチサトルとの新ユニット"EARTH 0"で初ライブを披露していただきます。
本レーベルのタイトルが付くパーティーは2019年11月以来実に5年ぶりなんですが、この2日前の9月25日でレーベル設立11周年となります。
中年や初老には厳しい時間帯ではありますが、是非是非このタイミングにお越しくださいませ。みんな来てくれるならもうちょっと定例化してもいいかもね。