ワークとライフ、カクテルとジグソー
「ワークライフバランス」という言葉に替わる
概念を考えてみた時に、
以前『ワークライフカクテル』という言葉を
思いついたことがあります。
何度か、SNSでも投稿してみました。
カクテル。
異なる原酒と材料とをシェイクして
混ぜ合わさって一体化させること。
それぞれの味わい、風味が活かされて
渾然一体となっている状態。
…ただ、何かが足りないと、
ずっと考えていました。
この概念は、「ワーク」と「ライフ」を
「あえて切り離したい人」には
向いていないのではないか、と。
先にお断りしておくと、
私が考えているのはただの概念、
言葉探しですから、
そこに良い悪い、優劣はありません。
その時々の自分に
しっくりくるワードを、使えばいい。
別に併用したってかまわない。
ワークライフバランスという言葉を、
狩るつもりではないのです。
概念や言葉は、ツールなのですから。
そもそも、と考えてみましょうか。
歴史的に考えると、以下のような流れが
あったように思います。
①ワークライフイコール
「仕事」と「人生」が分けられていない。
そもそも「仕事」(賃金労働的な意味合い)の
概念があまりない時代の考え方。
②ワークライフカッター
「仕事」と「人生」を、切って別物にする。
オンとオフ。「労働」と「余暇」。
仕事の自分は本来の自分ではない的な考え。
いわゆる『産業革命』以後の、
「工場(組織)の歯車」「出勤と退勤」
「労働時間」「非人間的な避けるべき労働」
「職場では仮面をかぶる」などの捉え方から
生まれてきたような考え、ですね。
③ワークライフバランス
「仕事」と「人生」を調整しようよ!
バランスを取ろうよ!的な概念です。
「仕事だけが人生じゃないですよね」的な
文脈を感じさせる言葉。
②の中の①、つまり
ワークとライフを切り離したうえで
ワーク=ライフになりがちな現代人に
警鐘を鳴らす際に使いやすい言葉
(この言葉の流行の裏を返せば、
「ワーク=ライフになりがちな現代人」
「人間にそれを強いている組織」が
いかに多いのか、ということですが…)。
④ワークライフカクテル
③バランス、に替わる言葉を
模索していく中で思いついた概念です。
ただ、上述したように、
ワークとライフを②カットしたい人には
あてはまりにくいかもしれないのが欠点。
と、ここまで考えての、新たな概念、
というかワードを紹介します。
ヒントは「ライフパズル」という言葉でした。
スウェーデン生まれの概念、労働観の一つ。
つまり、必要な時に必要なピースを集め、
それを組み立てていく。
人生、少ないときも多いときも、ある。
これ、私がかなり好きな言葉で、
SNSなどでも何回か紹介しました。
ただ、あえて欠点を言えば、
「ライフだけですか?」という点と
「パズル=ジグソーパズルではない」
という点ですね。
パズルという言葉は多義的なので、
人によってはクロスワードパズルを
イメージしてしまうかもしれない。
というわけで、「ワークライフ」両方と、
ジグソーパズルの「ジグソー」のほうを
組み合わせてできた言葉が、こちら!
⑤ワークライフジグソー
ワークとライフに関わるそれぞれの
切られて凸凹な様々なピースを、
「その時々の状況に応じて
うまく組み合わせていく」イメージ。
手放すピース、新たに手に入れる
ピースがあってもいい。
ある人にとっては不要なピースも、
他の人にとっては必要不可欠なピース
かもしれない、というダイバーシティ的な
多様性を認める考えをも含んでおります。
例えば「子ども」という
ピースを手に入れたとしても、
長い人生・成長の中で
いつかは「子離れ(親離れ)」していく。
その際に、可変的に柔軟に、
自分のワークとライフを
ジグソー(パズル)のように組み替えていく。
「自分自身の凸凹」をも、変えていく。
「完成見本」を持ちたい人は、
良いと思える「キャリアモデル」を手本に
組み立てても、いい。
「自分だけのジグソー(パズル)を作る!」
と燃えている人は、
自由に組み立てることも可能。
新たなピースを生み出すことすら、可能。
…いかがでしょう?
繰り返しで恐縮なのですが、
これらの概念・言葉自体には、
優劣はありません。
「ワークライフジグソー」凄いだろ!
頭を垂れてつくばえ!ではないのです。
あくまで現実を捉えるためのツール。
その時々で使い分ければ、いい。
自分と違う捉え方の人を排撃するのでなく、
尊重して、敬意を払うことも大事ですから。
①ワークライフイコール
②ワークライフカッター
③ワークライフバランス
④ワークライフカクテル
⑤ワークライフジグソー
さて、今の読者の皆様に、一番、
しっくりとくる考えはどれですか?
(複数回答も可です)
私の個人的な考えとしては、
①②から③を経てきた時代の流れは
今や③から④⑤に向かいつつあり、
④カクテルがしっくりくる人と
⑤ジグソーがしっくりくる人に
二極化していくのではないか
と予想してます。
①イコールと④カクテル、
②カッターと⑤ジグソーは、親和性が強い。
③は②の前提での中間(まさにバランス)。
過渡期、なのです。
今の読者の皆様におかれましては、
④ワークライフカクテル と
⑤ワークライフジグソー では
どちらがしっくりとくるでしょうか?
(複数回答も可です)