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日本には、たくさんの地方自治体があります。

47都道府県、1,724の市町村。
特別区まで加えると1,794(2024年現在)。
『約1,800』の地方自治体がある。

この全部が全部「うまくいっている」
とは言えないのが実情ですよね。
差が出てきている。

例えば「東京都」が動かす予算は
小さな国よりも大きい、という
話を聞いたことはないでしょうか?
だから「東京都知事選」もニュースになり、
誰がその舵を握るのか、
大きな話題になる。

その一方で、小さな自治体もあります。

統計が取れている市町村の中で、
一番人口が少ない村は東京都にあります。
八丈島の南にある孤島。
八丈支庁の青ヶ島村は人口100人台です。
(もちろん、地理的な条件が
とても特殊という理由があります。
接舷できる港が小さく、気候によっては
フェリーも2回に1回は出ない、という
交通の便があまり良くない島なのです)

このように地方自治体は、
千差万別で、一つとして同じものはない。
それぞれが独自の歴史と地理を持つ。
「平成の大合併」で新たな歴史を
つくることを選んだ自治体もある…。

その中には「喰われる」自治体もある、
と言われています。

「えっ、誰に?」

本記事では、日本の地方自治体と
地方創生とお金にまつわる話
を書いてみます。

まず、前提の話から。

明治以後の「中央集権」から、
戦後日本は「地方自治」に変わりました。
地方のトップは中央から派遣されてきた。
それが「選挙」で地方住民が選ぶようになる。

しかし『三割自治』という言葉が生まれます。
…三割しか自治が成り立っていない!と。

どういうことか。

国も地方も「公の事業」を行いますよね。
税金で行う事業。

2000年以前、公的な支出の内訳は
国:地方で4割:6割でした。
ところが収入は
国:地方で8割:2割。
支出が多いのに、収入が少ない。
地方は6割の仕事をしているのに、
2割しか収入がなかった。
そのほとんどが自己資金でまかなえない…。

これではいかんと、2000年以降には
国:地方の仕事が3割:7割になります。
いわゆる「地方分権推進」です。
ところが、収入はそのまま。
すぐ収入が増える自治体ばかりではない。

足りない分は?

国からもらいます。再配分。
「地方交付税交付金」があります。
要は「地方自治といってもお金ないでしょ?
国からお金をお渡ししますよ」です。

ちなみに、この地方交付税交付金の
普通交付税を「もらっていない」
地方自治体もあります。どこでしょう?

東京都ですね。人口も企業も多いので
税収が多い。「自己資金」でまかなえる。
また、市町村の中でも、
もらっていないところがあります。
茨城県なら「つくば市」「神栖市」「東海村」
国の研究施設、工業地帯、
発電所があったりするところ。
全国でも、有名な観光地や発電所があったり
芦屋市など高級住宅地があったりする
市町村などはもらっていません。

ただし、これらはレアケース。
「大部分の自治体は国からお金を
再配分されている」
んです。

お金を出してもらっているところに
「配慮」しなければいけないのは、
自治体でも企業でも同じです。
国が「こんな計画を作って!」と
指示を出せば、自治体は計画を作る。
作らないとお金をもらえないかもしれないから。

その一つに「総合戦略」があります。

おそらく、皆様が住んでいる自治体でも
策定しているのでは?
ぜひ、自治体のホームページを
見てみて下さい。

これは2014年(平成26年)に交付施行された
「まち・ひと・しごと創生法」という
法律に基づいてつくられていることが多い。
(注:独自にその以前から同様のものを
つくってきた自治体もあります)

「まち・ひと・しごと創生法って、何?」

日本の急速な人口減少、少子高齢化に対して
「東京一極集中」に歯止めをかけるべく
つくられた法律です。

文字通り「まち」と「ひと」と「しごと」を
各自治体で創生しよう、という法律!
「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を
策定し実施する
としています。
職員も増やした。次官級ポストも新設した。
人口減少待ったなし。国が本腰を入れる!

「いいじゃないですか!
お金がない自治体もあるのだから、
国が支援して地方創生を行う!」

…そう思いましたか?

確かに、国のお金が地方に「還流」して、
適切に使われ、潤い、まち・ひと・しごとが
生み出されれば、それはいいこと。

ただ、そのお金が「喰われる」実態もある…。

さて、読者の皆様が仮に、
地方自治体の担当者になったとしましょう。
「総合戦略」をつくる担当者。
どうやってつくりますか?

「えっ、それは、まちの皆の叡智を結集して、
自分たちの歴史や地理、特徴、課題、展望、
それらを洗い出し、頑張ってつくります!」

うん、とても、いいですね。
議会で答弁できそう。
ただ、それ、できますか?
みんな、それぞれ仕事を抱えて忙しいですよ?

「…確かに、容易なことではないです。
関係各所と調整が必要だ。
正確な調査も必要でしょうし、
住民の方の理解や、説明会も必要…」

そうなんです。
「計画倒れ」にならないために、
きちんとしたものをつくらなきゃ。
国からの再配分が行われるかどうかの瀬戸際。
国の審査も厳しい。良い戦略をつくらねば!

その時、あなたに連絡が入る。

「…戦略、一からつくるの、大変ですよね?
私たちにお任せいただけませんか?
他の自治体の戦略をつくった実績もあります。
私たちに、安心してお任せください!」

いわゆる地方創生コンサルティング業者。
どうでしょう。もしあなたが担当者なら
「丸投げ」したくなりませんか?

…しかし、そういった業者が
「地方在住」で、自分たちの自治体の
実情に詳しいのかどうか、
ちゃんと足を運んでくれるのか、
しっかりとしたものを作ってくれるかは
見極めたほうがいい、と私は思うのです。

実は、自治体がつくっている総合戦略のうち、
約半分は「東京」のコンサル会社が
つくったものだ
、とも言われています。

地方へ還流、どころか、
中央からの金が再び
「東京に再還流」している…!

いわば「喰われて」いる…!

最後にまとめます。

本記事では「喰われる」自治体について
書いてみました。

そもそも論から言えば、
「計画」を立てれば終わりではない。
お金をもらうのがゴールではない。
あくまで「スタート」ですよね。
スクラップ&ビルド。トライ&エラー。
走りながら考えて、
微調整しながら行う。
それが商売であり、
ひと、まち、しごと、ではないでしょうか?

そのようなことを実際に現地で行うのは、
基本はお役所ではなく「民間」です。

LinkedInやnoteには、素晴らしい公務員の方も、
民間の方も、たくさんいらっしゃいます。

ぜひ、地方自治体関連でお困りの方は、
そういった方にアクセスして、
叡智をシェアしてもらってはいかがでしょう?

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「地方創生」のページはこちらから。
たくさん資料が載っていますよ!↓

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