ちょっとしたクイズを、皆様に。
以下に共通する「言葉」は何でしょうか?
①踊り ②役者 ③足 ④二十日 ⑤切り
…難しいですかね。では、これでは?
⑥練馬 ⑦桜島 ⑧亀戸 ⑨守口 ⑩聖護院
…そろそろピンときましたか?
⑪貝割れ ⑫切干 ⑬餅 ⑭風呂吹き ⑮おろし
そう、答えは「大根」(ダイコン)ですね!
大根は文字通り、大きい根っこ、です。
そのあまりにもシンプルな姿かたちから、
さまざまな地方品種が生まれ、
またさまざまに調理され、食べられています。
刺身のツマや、サラダの食材としても重宝され、
「消化が良い」「食当たりしない」ことでも有名。
ということで「当たらない」ことにかけて、
ヒット作が出ない役者を「大根役者」とも
言うそうです(さまざまな説がありますが)。
野球では、地面に叩きつけるような打ち方を
「大根切り」打法なんて言いますね
ヒットが出ない打者は、「大根バッター」。
ちなみに①の「大根踊り」とは、
東京農業大学の応援歌「青山ほとり」の別称。
箱根駅伝に出場した時など、応援団が
大根を持って激しく踊っています。
2016年には創立125年を記念して
「大根踊り」というお菓子まで作ったとか…。
今回は大根の記事なんですが。
とにかく、歴史のある野菜です。
古くはエジプトでピラミッド建設者にも
与えられていたと言われており、
日本でも弥生時代には既に入ってきています。
奈良時代の『日本書紀』にも記載があります。
ただ一般に広く普及したのは
江戸時代だそうで、練馬大根、守口大根など
いわゆる「ご当地大根」が色々なところで
栽培されることになります。
かの有名な第五代将軍、徳川綱吉も、
脚気を患って練馬村に療養し、その時に
大根を作らせて食べたら治った、とのこと。
これが練馬が大根の一大産地になった
きっかけ、という説もあります。
他にも、沢庵というお坊さんが
「たくあん」という漬け物を考案したとか、
秋田では「いぶり漬け」(いぶりがっこ)という
燻製した漬け物が生まれたとか、
保存の仕方も色々と工夫されていきました。
秋田は豪雪地帯のために、
たくあんを作る際に水分を抜く
「屋外で干す」作業が十分できなかったので、
屋内で囲炉裏の火と煙で干したのが
いぶり漬けの始まりだそうです。
ともあれ、栄養価も豊富、
地域色も調理法も豊富、
大根は日本の風土に溶け込み、
溶け込み過ぎてなかなか普段は
その素晴らしさを、はっきり認識できません。
…そういう人、組織に、いますよね?
本当はいなくては困るのに、
つい「いるのが当たり前過ぎ」になって、
大根役者だの大根足だの、ネタにされて
からかっても大丈夫だ、と思われている人。
実はその心中、辛味であふれていても…。
しかし、そういう大根のような
地味で地道な人こそが、
粛々と組織を下支えし、
黒子(大根だから白子?)のような役割で、
日々の仕事や生活をしっかりと送れるよう
支えてくれているような気がするのです。
大根の別名はすずしろ。涼白。蘿蔔・清白とも。
すずなの「代用」だから
すずしろ(すず代)と呼ぶとか言われます。
…派手な色をしていなくて目立たなくても、
なかなかヒットが打てなくても、
滋味にあふれたこういう人材、
いざという時には代用もこなせる人材をこそ、
大切にしていきたいものですね。
というわけで、読者の皆様におかれましては、
あまり刺激の強い食べ物ばかり求めて
喉や胃腸を痛めるよりも、
今日は大根おろしに大根の味噌汁など、
胃腸に優しいお食事はいかがでしょう?
ほかほかおでんの
つゆ染み染みの大根も、いいですね!
『大根引き 大根で道を 教えけり
(だいこひき だいこでみちを おしえけり)』
小林一茶の名句にて、
この大根の記事を締めたいと思います。