大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、見てますか?
四月、新年度。
本記事ではこのドラマを踏まえて、
組織について書いてみます。
ちょうど「組織の衣替え」の時期ですし…。
このドラマはタイトルの通り、
鎌倉殿=鎌倉のリーダー
をめぐる13人の攻防、人間関係、
そういうものを描いたドラマです。
三谷幸喜さんが脚本、ということで
『新選組!』『真田丸』のような
ちょっとコミカルな、それでいて
歴史の醍醐味を味わえる作品になっています。
大河ドラマは原則、一年を通して作られます。
まだ四月ですので、序盤から中盤。
源平合戦もたけなわで、
これからどのように源氏が平家を倒すか、
という話の展開なのですが。
最近、鎌倉側(源頼朝の陣営)に、
ある人材が登用されました。
その名も、大江広元(おおえのひろもと)。
後に「13人」の中にも名を連ねる、
いわゆる「外交官」「側近」「軍師」
のようなポジションの人です
※戦国時代の毛利元就で有名な
毛利家のご先祖様とも言われています。
この人、都の公家、朝廷側の人間でした。
いわゆる東の武家、坂東武者たちとは
一線を画すような、異質の存在なんです。
ただ、これから西の都へと進んで
平家打倒、新しい政治を、と目論む
源頼朝には、欠かせない人材になるんですね。
そりゃあそうです。
いつまでも武士たちのみの感覚、視点だけでは
天下は取れないわけで。
この大江広元を演じるのは、栗原英雄さん。
…とてもシブい、良い役者さんでしてね。
『真田丸』でも草刈正雄さん演ずる
真田昌幸の実弟役を、見事に演じていました。
余談ですが『真田丸』に出演が決まった際は、
急斜面を馬に乗って駆け上がる
ハードな乗馬訓練を重ねて本番に臨んだものの、
本編ではそのシーン自体が
すべてカットされたそうです(泣)。
しかし、撮影終了後も定期的に
乗馬訓練をされている、
という生粋の役者魂の持ち主です。
今度は貴族役なので、
なかなか馬に乗るシーンはないかもしれませんが、
その分、「組織」という荒馬を乗りこなす
優れた手綱さばきに、期待が高まります。
…この大江広元のような
「他の組織の価値観を持っている人」は、
組織にとって、とても貴重ですよね。
なぜなら、組織はいつのまにか
「同調圧力」「単一の価値観」によって
その構成員を染めがちなものですから。
『鎌倉殿の13人』でも、
いまは寄せ集めの、複数の価値観が存在する
混成部隊ではありますが、
徐々に仲間割れ、同士討ちなどを経て、
「鎌倉幕府」という、権威を持った
強靭な組織へと変貌していきます。
英雄「源義経」、平家を滅亡させた彼も、
ついには追放され、打倒されてしまいますし…。
よく言えば「組織の純化、取捨選択、強靭化」
のためには、
逆説的ではありますが
大江広元のような「異分子の軍師」が必要です。
つまり、「他の観点から組織を眺めつつ、
発展するのに必要なものを見極め、
巧妙に組織を上昇気流に乗せていく」ような、
そんな存在が…。
歴史の事例を見ましても、
秦の始皇帝は、李斯という「法家思想の怪物」
のような異質の人材を登用し、
「法」を政治の基盤を置く大帝国を築きます。
豊臣秀吉は、播磨(姫路のあたり)の
土豪の家老であった黒田官兵衛
(あの『軍師官兵衛』の主人公)を抜擢して
側近にして、自分の組織を強くしていく。
江戸幕府の徳川家康も、
若い頃に自分に反乱を起こした
本多正信という策謀に優れた人材を起用し、
天下統一へと乗り出しています。
このように、強くなっていく組織の中には、
大江広元のような、どこか自分の組織を
客観視して冷静にウィークポイントを埋め
ストロングポイントを育てていけるような、
そんな人材がいるものです。
ただし、トップ、リーダーにそういう人材を
活用できるような度量があるかどうか…。
異質であるがゆえに、物が見えすぎるために、
彼らは組織の中では孤立しがちなもの。
それを見出し、信用し、抜擢し、
他の者から異論反論があったとしても
そういう人材を守ることができるか?
そんなところに「天下を取れるかどうか」が
左右されるように、私は思いました。
さて、読者の皆様の組織では
いかがでしょう?
「大江広元」のような、
視野が広く、他の組織の観点を持ち合わせて、
冷静に自己が属する組織を
客観視できるような人材は、いますか?
坂東武者たち「だけ」しかいないような、
単一の価値観の集団になっていませんか?