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長編小説の六作目をほぼ書き上げました。
人事屋シリーズ、という小説。
やっと一段落、ほっとしています…。

五月末までには一段落させたかったので
ちょうどキリ良く書けました。
爽やかな達成感があります。

本記事ではこのシリーズを書いてきたことについて
備忘も兼ねてまとめておこうと思います。
どう物語の世界を構築していったのか?
そういうことを思い出すまま、書き留めます。
もしよろしければ、おつきあいください。

まずはお礼から。

…ありがたいことに何人かの方に
この「人事屋シリーズ」の小説を
お読みいただき、ご感想もいただけました。
作品のご感想をいただくのは、本当に嬉しいです。
改めて、お礼申し上げます。

ただ自分でも、短い文章ではなく
それなりに長い長編の小説を
「六作目」まで書くとは、
書き始めた時はあまり考えておりませんでして…。

「人事屋シリーズ」を書き始めたのは、
2020年の春頃のことです。

ほぼ二年前。
まだリンクトインは使い始めていませんでした
(使い始めたのは2021年3月頃)。
せっかくTwitterで人事関連の方と
多くつながりができたので、
フィクションの「小説」という形で
「人事」を表現してみようか…
という
軽い気持ちで書き始めてみたと記憶しています。

どうせフィクションで書くのならと、
ファンタジーで中世的な世界を設定しました。

なぜなら、
人事というものは人が織り成すものである以上
どんな世界でも人さえいれば
共通して悩んだり解決したりするものだ、
人事はどんな世界でも必要なのだ、
ということを書いてみたかった
からです。
無理に現代劇にしなくてもいいか、と考えました。

人事屋エイル、というキャラを作りました。

これは飲み物の「ジンジャーエール」から。
エール、だとそのまま過ぎるので
エイル、にしました。

そこから、ジンジャー、つまり
「しょうが」が活躍するものは何か、
と考えていきまして。
「人が織り成す群像劇」と考えたところ、
「ミックススパイス」が思い浮かびました。

色々な香辛料が混ざり合い、
独特の風味を醸し出す…。
うん、いいじゃないか。人事にぴったり。

そこで、物語の舞台を「ミックススパイス島」、
人事屋エイルが活躍する街を、
その島の中心地「セット・グー」の街に
してみました。

街の名前は、
セット=七、グー=味という意味の、
フランス語からとっています。
つまり「七味」です。

「七味唐辛子」にはいくつか種類がありますが、
「トウガラシ」「クロゴマ」「アサノミ」
「サンショウ」「シソ」「チンピ」
「ケシノミ」「アオノリ」そして「ショウガ」、
このあたりを使うことが多いようです
(Wikipediaで調べました)。

そこで、それぞれの香辛料に合うキャラを
設定していきました。

イメージは「必殺仕事人」。
でも群像劇だから、エイル単体で
働いているわけじゃない。
うん、エイルの上司がいるよな…。

では七味唐辛子の主体はトウガラシだから
「トウガラシ・カプサ」という
キャラを作って、市長にしよう…
(カプサの名はカプサイシンから取りました)。

「山椒は小粒でもぴりりと辛い」と言うよな。
ではヒロイン的な存在として
「サンショウ・コツブ」という
キャラを作ってエイルの相棒にしよう…。
エイルは「人事」の技で戦うキャラにするから、
コツブは剣の達人にしよう…。

そんな感じで、どんどんキャラを
設定していきます。
そしてそれぞれに性格を加味して、
読者にすぐ区別してもらえるようにしました
(達観している冷静な暗殺の達人とか、
怪しげな関西弁を使う財務の達人とか…)。

そうなってくると、
なぜ「特殊技能」を持った彼らが
その街に集まっているのか?
理由付けが必要
となっていきますよね。

そこですぐに思い浮かんだのが
「梁山泊」、『水滸伝』のあれです。

ただし梁山泊だと、強大な中央政府に対する
あぶれものたちの集団、アウトロー、
山賊っぽくなりますから、

その逆で、島に中央政府を作ろうとする
真面目な集団にしようか。
その特殊技能を他の国に「貸し出す」ことで
成り立っているような組織に…。
となると、島の中はいくつかの国が
分裂している戦国時代みたいな感じにして…。

と、このように妄想を広げていきまして、

ミックススパイス島は十字の形をしており、
それぞれの半島に国があって、
「加麗王国」「蛸巣公国」
「数婦共和国」「間坊帝国」という
四つの国に挟まれている

中心都市がセット・グーなのだ!
という設定ができあがりました。

それぞれ、カレー、タコス、
スープ、麻婆豆腐がモチーフです。
スパイスが利いた食べ物です。

そこから、
加麗王国は、ある程度統一が取れているものの
どんなカレーにするか悩んでいる
後継者争いをしている国、
蛸巣公国は、それぞれ「蛸壺」にはまって
ひきこもっているような個人主義の国、

そこに人事屋エイルたちが
「仕事」を注文され、派遣されて、
人事上の問題を解決していく…という
ストーリーが出来上がったのです。

四つの国ですから
四作でそれぞれ書いて、完結。

…というつもりだったのですけど。

四作目『人事屋エイルの本懐』を
書き終わった後で、あるキャラが
私の脳内でささやいたんですよね
(こう書くとアブナイ人みたいですが)。

「あのう、私、四作目で捕まって
そのままなんですけど…」

そう、ストーリーの展開上、
あるキャラが捕縛され捕らわれの身になって
そのまま、行方不明になっていたのです。
かなり、かわいそう。

物語としては四作目でオチをつけたけれど、
そのキャラとしては、話は終わっていない。

…私は、このキャラの懇願に負け、
ある種の使命感に突き動かされて
続きの五作目を書くことにしました。
それが『人事屋ポックの半解』という作品です。

せっかくなので、世代交代をして
エイルたちの次の世代の人たちを
主人公にすることにしました。
今度は「人事屋ポック」が主人公。
もちろん「ジンジャー・ポーク」から
名前を取っています。
舞台も、島から飛び出して
海を越えた大陸を活躍の場にしてみました。

…そんなこんなで、六作目まで着手しまして、
ようやく2022年の五月末に
一段落まで書き上げた、というところです。
やっと冒頭につながりましたね…。

以上、長々と私の妄想にも近い
小説の設定話におつきあいいただき、
ありがとうございました。

そのうち、五作目・六作目も
リリースできると思いますので、
人事屋シリーズファン(いるのか?)は
どうぞ気長にお待ちください。

…もし、ちょっと読んでみたいかな、と
思われた人は、まずTwitter上で立ち読みを。
一作目から三作目、
プロローグから第五章まで、読めます
(リンクトインの会社(団体)ページでは、
三作目のみ連載していました)

最終章の第六章とエピローグまで
読みたい方は、ココナラ上で
閲覧専用のPDFを販売中。

このシリーズの素晴らしいイラストを
描いていただいているのは、
中林まどかさんです↓

これらへのリンクを
貼っておきます。ぜひどうぞ!

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