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限りある資源を活かそう!

…そのようによく言われます。
日本は「資源少国」です。
どちらかと言えば『加工貿易』のような
「資源を輸入して、加工して、
付加価値をつけて、輸出する」
そのようなスタイルで
「経済大国」になった経緯がありますよね。

ただ、2024年現在は
「失われた〇〇年」という
経済不況の影響もあって、
「世界に冠する経済大国です!」とは
胸を張って言えない現状がある。

となると、見直しが必要です。
どの分野で、何を活かしていくのか?

すぐに思い浮かぶのが、
「豊かな自然」「ユニークな文化」。
あまり世界では類を見ない
独自のものが、日本には、ある。

モノではなく、コトで世界を感動させる!
所有するモノから、シェアする体験へ…!

いわゆる「観光」です。

「そんなん、あなたに言われなくても
政府はずっと力を入れていますよね?
『観光立国』と称して、
コロナ禍で少し下火にはなりましたけど
『インバウンド』&『円安』で
世界中から人が訪れそうじゃないですか!
何千円もの丼料理がたくさん売れている…」

それはそうなのですが、
では「観光資源」とは何か?
すぐに、説明できるでしょうか?

本記事では改めて、
「観光資源」とは何か、
(自分の復習も兼ねて)
書いていこうと思います。

あわてずに、基礎からいきましょう。

◆「観光」って何ですか?

「観光は、そりゃあ、かんこう、ですよ。
光を観る。旅をして回る。
風光明媚な自然を見て和んだり、
歴史的な遺跡を見て過去に想いを馳せたり。
あっ、グルメや旅館で温泉もいいですよね。
友達や家族との楽しいひとときも!」

まあ、そんなイメージです。
観光旅行、という言葉もありますから、
「旅」と一心同体のニュアンスがある。

…ですが、本来『観光』とは、

古代中国の書物である『易経』にある
「観国之光、利用賓于王」
(国の光を観る、用て王に賓たるに利し)
ということから来た言葉。
つまりは
「他国の制度や文物を視察する」
「他国を旅して見聞を広める」

という意味があったのです。

どちらかと言えば「修学旅行」のイメージ。
見聞を広めて自分を高める、
という意味があった。

幕末にオランダから江戸幕府に
献上された軍艦には、
『観光丸』という名前が付けられました。
…これは、観光旅行、ではないですよね、
「国の威光を海外に示す」、言わば
「俺たちの光を観ろ!」という
誇らしげな名前が付けられたのです。
(注:命名には諸説あります)

このどちらかと言えば堅苦しい「観光」が
「余暇」「楽しみ」「娯楽」の意味を
帯びてきたのは、明治時代の頃。
そこには、最近、一万円札の顔になった
「渋沢栄一」が関係しています。

1893年、渋沢栄一と
益田孝(三井財閥の実力者)は、
『喜賓会(Welcome Society)』という
外客誘致のための団体を設立しました。
いわば、インバウンドのはしりです。

◆「旅行の快楽、観光の便利に」

これがキャッチフレーズ。
1912年にジャパン・ツーリスト・ビューロー。
1945年には「日本交通公社」になります。
ちなみにこの公社の営業・出版部門が
独立してできたのが「株式会社JTB」
言わずとしれた旅行業界の最大手。

このような団体が、時代に合わせて
「旅行の快楽」を前面に出して
色々なツアーなどを企画していった結果、
「観光=旅の楽しみ」という
イメージが形成されてきた。

「…『観光』については分かりました。
では『観光資源』とは何でしょう?」

次の4つに分けられる、と言われます。

◆自然資源
◆文化資源
◆歴史資源
◆人的資源


順番に見ていきましょう。

「自然資源」とは、山・海・湖・川など。
文字通り「自然」ですよね!
富士山。沖縄の海。北海道の雄大な景色。
ふだん「都市」にいる人の心を
癒してくれるような効果があります。

「文化資源」とは、地域の文化や伝統、芸術。
その土地のならではのもの。
例えば伝統的なお祭り、食文化、工芸品。
…大阪なら「本場の」タコ焼き、
宮崎なら「本場の」チキン南蛮が
食べたくなりますよね?

「歴史資源」とは、修学旅行で見たりする
京都の金閣とか、姫路なら姫路城とか…。
広島なら「原爆ドーム」も入るでしょうか?
これらを見ることで、人は
過去の歴史に想いを致し、学ぶことができる。

では、人的資源、とは何か?
これは「地域の住民や観光業に従事する人」

私は、この人的資源こそが
一番重要だと思うのです。

仮にどこかに「観光」をしたとしても、
地域のガイドや宿泊施設のスタッフが
ダメダメだったら、思い出も最悪ですよね。
「なんだここ、二度と来るか!」
そう思ってしまいます。

逆に、この人的資源が
とても温かく、素晴らしいものだったら?
「いいね! また来よう!」
そう思うのではないでしょうか?

もちろん『孤独の観光』的に、
人は関係ないから
自然を観たり、グルメを楽しんだり、
歴史遺跡で思いを馳せたり…
そんな旅も、あります。

ただ「観光」の経験を潤してくれるのは
やはり「人」の記憶ではないか?

それは、ただお客さんに媚びるのではなく、
その土地「ならでは」のふるまい。気遣い。
そういったものではないか、と思うのです。

…そう考えますと、
その土地を訪れる人にとって
「素晴らしい観光人的資源」とは
いったいどんな人なのか?

読者の皆様は、どう思いますか?

「そりゃあ、自分たちの『特徴』を
しっかりと自覚して、
その良さ、あるいは悪さも鑑みて、
しっかりと伝えることができる人、
ではないでしょうか?」

…この回答は、人それぞれ。
今までの皆様が経験した「観光」の記憶で
さまざまに答えが浮かぶ問いだと思います。

最後にまとめます。

本記事では「観光資源」について
書いてみました。

私の個人的な経験から言えば、
「もう一度、あそこに行きたいな」
と思うような場所は、
例外なく「印象に残った人」と
セットになっています。


それは、直接は交流はしていなくても、
自然を保護している人の影だったり、
文物を生み出す人のこだわりであったり、
歴史的に綿々と伝統をつなぐ人であったり、
そういったものも含まれるのです。

もう一度、問いかけて終わります。

あなたにとって、
良い「観光資源」とは何ですか?


ちなみに、少し考えの範囲を広げれば、
「職場」にも「人に光を見せる、魅せる」
という観点から観れば
「観光資源」が転がっているはず。

…あなたの職場の資源は、何ですか?
リピーターは、増えそうですか?
訪れた人に、学びはありますか?

あなたの人生における職場の旅で、
一番鮮烈に残っている記憶は、何ですか?

『ヘリテージ・ツーリズム』についてはこちら↓

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