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小説『人事屋ポックの半解』『俗界』販売開始!
ココナラ上で、小説の閲覧用PDFを販売しています。
このたび、小説「人事屋シリーズ」の
五作目『人事屋ポックの半解』
六作目『人事屋ポックの俗界』を
販売開始しましたので、お知らせいたします。
…あれ、『人事屋エイル』ではないんですか?
と聞かれることがありますが、
五作目・六作目は、
人事屋エイルが活躍した四作目までの時代から
「二十五年ほど後の世界」のお話なんです。
主人公が、世代が、交代します。
以下の文章は、販売開始を記念?して、
少しだけ、プロローグの冒頭をご披露したい、
と思い、引用コピーしたものです。
(ここから引用)
『一人の男が、名も知れぬ孤島に到着していた。
その男は、四十歳を少し過ぎたあたりだろうか。手つかずの島の自然を見ると、軽く眉をひそめた。男の背に向けて、船長が甲板から、大きな声を投げかける。
「旦那、だから言ったでしょう。この島は無人島でさあ。いるのはせいぜい猿くらいなもんだ。上陸したって、何も出てはきませんぜ!」
船長の声が聞こえたのかどうか。男は黙ったまま、引き締まった腕で棒を振り、浜辺近くの草むらを、無心にかきわけている。船長は肩をすくめて、船室に戻った。雑談をしていた船員たちが話を止め、恐る恐る声をかけてきた。
「おかしら、どうするんですかい? あの旦那が遊び飽きるまで、こんな何にもない島で待ちぼうけですかい?」
船長は黙っていた。この奇妙な乗客に、初めて出会った時のことを思い出している。
「…この島に向けて、船を出してくれないか?」
そう言って男は、船長に金貨とともに海図を差し出してきたのだ。船長は、短気な性格が損をして、船長たちの組合から追い出された一匹狼。ミックススパイス島の南の端、タンドーリの港町に潜む、もぐりの密輸船だ。海賊未満、商人以上、と言ったところか。
「旦那、こんな絶海の孤島に、何しに行くんだい。まさかこの島に、海賊の宝でも眠っているんじゃないでしょうな?」
船長はこう答えて難色を示したのだが、その実、男が出した金貨から目が離れなかった。商売が二件、立て続けに不調に終わっていた。有り金の残りが少なくなっている。言葉とは裏腹に、船長はどんな仕事でも乗るつもりだった。たとえ得体の知れない顧客でも…。
「これで足りるか?」
さらに男は、金貨の詰まった袋を出してきた。船長は、内心でうめく。鴨がねぎをしょってきているのだ! だが船長は、こずるい表情をひらめかせ、こう言ってのけた。
「この海域はな、天候が変わりやすくて、危険なんだ。そんなはした金では…」
もう一袋、金貨の袋が机の上に置かれる。船長は驚きを隠せなかった。
「出発は明朝。俺をこの島に連れて行って、指定した時に迎えに来てくれればいい」
…何しに来たんだろうな、あの男。船長がそう考え込んだ時、船員たちがざわめいた。男がいつの間にか船に戻ってきて、船室までやってきていたのだ。その足運び、ただよう威厳は、ただ者とも思えない。つい、卑屈な声を出して、船長は男にこう聞いた。
「ね、旦那、何もなかったでしょ? このまま、タンドーリの港にお戻りになりますか?」
しかし、男の口からは、信じられない言葉が飛び出してきたのである。
「…ちょうど一年後に、この同じ場所に、私を迎えに来てもらいたい。さしあたっての食料と野営の準備だけ、いただいておこう。いいな、他言は無用だぞ」
船員たちがざわめいた。船長は、彼らをひとにらみして黙らせると、彼に尋ねた。
「へ、へえ。それはもちろんかまいませんが、こんな何もない島で、一年もお暮しになるんですかい?」
男は船長の問いを無視すると、あらかじめ準備させていた品を受け取って、言った。
「いいな、一年後だぞ。忘れるな!」
…船は、島を去っていった。男は船影が見えなくなると、草むらに向き直る。そこには、ほんのわずかだが、人の足跡らしきものがあった。けもの道よりも、ずっと細い。しかし彼は臆することなく、その足跡をたどり、草むらへと分け入っていったのである。』
(引用終わり)
…さて、海賊未満、商人以上の
怪しい船乗りたちを雇ってまで
絶海の孤島にわざわざやってきたこの男は、
いったい誰なのでしょうか?
それは本編を読んでのお楽しみ、
といったところですね。
私のココナラの販売ページはこちら↓
「どんな感じで販売しているんだろう?」と
冷やかしに来ていただくだけでも大歓迎。
もし、よろしければちらっとでも
覗いていただけますと、とても嬉しいです!
また、最初の一作目から三作目につきましては、
全六章のうち、第五章まで、
(最後の第六章とエピローグは除く)
「ツイッター上にて無料で立ち読み」が
できるようにしております↓
『人事屋シリーズ』
— いなお@ココナラで小説・エッセイPDF販売中! (@hisutojio) August 5, 2022
①人事屋エイルの爽快 :後継問題
②人事屋エイルの密会 :派閥闘争
③人事屋エイルの打開 :情報操作
につきましては、
以下のツイートから立ち読みができます
(最後の第六章・エピローグを除く
それぞれ第五章まで↓https://t.co/Vn3v8kaISp
「いきなり買うのは、ちょっとなあ…」
「そもそも、一作目から試し読みを
してみたいんですけど…」という方は、
もしよろしければ、このツイートから、
ぜひ人事屋シリーズの世界に訪れてみて下さい!
◆小説『人事屋シリーズ』(本編全六作)
①人事屋エイルの爽快 :テーマ 後継問題
②人事屋エイルの密会 :テーマ 派閥闘争
③人事屋エイルの打開 :テーマ 情報操作
④人事屋エイルの本懐 :テーマ 戦略人事
⑤人事屋ポックの半解 :テーマ 実地研修
⑥人事屋ポックの俗界 :テーマ 国際構想
小説の「設定」を書いた記事はこちら↓
小説にいただいた「ご感想」の一つはこちらです↓
なお、このシリーズのイラストを
描いていただいたのは、
中林まどかさん。
本当に素晴らしいイラストばかりです!
ぜひ、ご覧になっていただければ…↓
以上、本記事は、
私の小説「人事屋シリーズ」の
第五作目と第六作目の閲覧用PDFの
販売を開始しました、
というお知らせの記事でした。
…自分の書いてきた作品が形になるのは、
とても、本当に、嬉しいです。
そしてこうして、読者の皆様に
告知ができる段階にまで来ましたこと、
いささかの感慨があります。
ぜひどうぞ、宜しくお願い申し上げます!!
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