カラフルな魔女、角野栄子さん
スタジオジブリの名作の一つ、
『魔女の宅急便』の主人公、魔女のキキが
両親に宛てて書いた手紙の一節です。
(「おちこんだりもしたけれど、
私はげんきです。」
という糸井重里さんの
キャッチコピーのほうも有名ですが、
これはポスターに使われただけで
キキのセリフとして作中には出てきません)
この略称『魔女宅』は、十三歳の女の子が
魔女の修行のために家を出る、という
ストーリーで、多くの視聴者に
忘れがたい感興を刻み込みました。
思春期に観て、とても影響を受けた、
という中年世代も多いはず…。
両親にこう言われて送り出されたキキは
自分自身が選んだ街で、選んだ仕事で、
自分なりに頑張り、落ち込みつつも、
元気に働いていく、という物語!
こういうことをサラッと言って
励ましてくれる眼鏡の少年とか、
魔力を失ってしまったキキに
一人一人には個性、力があると励ます
絵描きの女性など、
様々な人と会いながら成長していく
青春物語、でもあります。
…ただですね、そこは「ハヤオ・マジック」と
言いますか、かなり宮崎駿監督流の脚色、
アレンジが入っているんですよ。
実は、原作はかなりテイストの違うお話。
(原作は映画とはまた異なる
良い味わいのお話なので、ぜひ)
本記事は「魔女宅」の原作者、
角野栄子さんの紹介記事です。
(ここから引用)
(引用終わり)
映画版の『魔女の宅急便』について聞かれて
こう答えた角野さん。
1935年生まれの大ベテラン作家です。
東京の深川の生まれ。
10歳頃に空襲の激しくなった東京を離れて、
山形県に学童疎開します。
終戦後に東京に戻り、
早稲田大学教育学部英語英文学科に入学。
大学卒業後に結婚、
インテリアデザイナーの夫の希望により、
1959年、24歳で自費移民として
ブラジルに二年間滞在しました。
…って、1950年代にブラジルに?!
東京、山形、ブラジル…?
もうここまでで波乱万丈の人生ですね。
このブラジルでの体験をもとに、
早稲田大学の恩師のすすめで書いた
『ルイジンニョ少年、ブラジルをたずねて』
という作品で作家デビューします。
1970年、35歳の頃でした。
それから十五年後、
1985年に書かれたのが、
映画版の原作『魔女の宅急便』なのです。
角野さんが50歳の頃の作品。
「鳥の目の高さから見た
ニューヨークの風景写真」と、
娘さんが中学生の描いた
「魔女のイラスト」から
着想して書かれた、と言われています。
この作品に触れて、さらに着想を得たのが、
宮崎駿監督なんですね。
アニメ映画化される際に、角野さんは
宮崎監督に「唯一の注文」として
のみを求めていたそうです。
しかし、そこはハヤオ流。
どんどん原作から内容が変わっていく…。
角野さんは宮崎監督と対談を重ねて、
解釈をすり合わせ、解決したとのこと。
1989年、映画が世に出ました。
(この「原作」と「絵」「解釈」の
違いとすり合わせは、私もささやかながら
お話を書いて、それに合わせた絵を
描いてもらったりしているので、
ものすごくよくわかります…。
文の書き手と絵の描き手の感性は
必ずしも一致しないもの。しかし、
その違い、コラボにこそ
良いものが生まれる鍵があるように思います)
2000年、紫綬褒章受章。
2014年には、旭日小綬章受章。
2018年に国際アンデルセン賞作家賞を受賞。
2023年には「江戸川区角野栄子児童文学館」、
愛称「魔法の文学館」
(英語名Kiki's Museum of Literature)
がオープンして、館長に就任しています。
…でも、それが、違うんですよ。
角野さんは、ご自身の日常を描いた
『カラフルな魔女
~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』
という映画の完成披露上映会で、
このようにおっしゃいました。
旺盛な創作意欲は、全く衰えていない。
いや、さらに増しているのです。
最後にまとめましょう。
本記事では宮崎アニメ『魔女の宅急便』の
原作者で、作家の角野栄子さんについて
紹介をしてみました。
ドキュメンタリー映画『カラフルな魔女
~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』は、
2024年1月26日(金)に公開。
◆出演:角野栄子さん
◆語り:宮﨑あおいさん
あふれんばかりの好奇心と冒険心。
創作の空を飛び回る自由さ…!
ぜひ、読者の皆様も映画を通して
『カラフルな魔女』こと角野栄子さんの
魅力と魔力に触れてみませんか?
※引用元記事はこちら↓
※映画『カラフルな魔女
~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』の
公式ホームページはこちら↓
※完成披露上映会での
インタビュー記事はこちら↓
※よろしければこちらの私の記事も。
◆『宮崎駿監督:クリエイター・バーサーカー伝説』↓
◆『宮崎アニメと主観的な組織論の考察』↓
◆『あえての「わかりにくい」ストーリー』↓
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