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渋の谷のNOW視化 ~渋谷の街のタテとヨコ~

『渋谷』と言えば?

「スクランブル交差点、ハロウィンでDJポリス?」
「NHKがある。天気予報は渋谷から!」
「センター街、アムラー、コギャル、109…」
「『忠犬ハチ公像』で待ち合わせ…?」

人が集まる。若い文化の発信地!
渋谷にそんなイメージを持っている方も
多いのではないでしょうか?

…しかし現在、渋谷は
「100年に1度の大規模再開発」中。
リニューアル中です。
どう変わっていくのか?
本記事では「渋谷の来し方・行く末」
私なりに書いてみよう、と思います。

まず、地理的なお話から。
山手線の南西に「渋谷駅」はある。

「渋い谷」と書いて「しぶや」!

文字通り、この街は「谷の底」なのです。
分かりやすい例が「地下鉄銀座線」の駅。
地上3階にある。…地下鉄なのに!?
いかに渋谷駅が「谷底」にあるかが分かる。
他の土地では地下、ここでは地上。
他の土地と比べて、低い。

スクランブル交差点は「谷の底」ですから、
ここからの移動は「坂」を上ります。
道玄坂とか宮益坂とか、坂がやたらと多い。
渋い顔をして谷から上がる感じ…。

では、渋谷駅前の盛衰、上り下り
簡単に書いていきましょう。

1885年に「渋谷駅」が誕生しました。
開業当初の利用者、一日平均30人台。
(ちなみに現在は300万人を超えて、
新宿駅に次いで第二位)

しかし、1923年の関東大震災を契機に
東の下町から西の郊外へと人が転居します。
人が西に移動したから、
鉄道の結節点である渋谷駅の価値も
どんどん上がっていく…。

1970年頃まで「若者文化」と言えば新宿
ですが、ベトナム戦争への反戦運動で
新宿駅の若者たちと機動隊が衝突。
だんだん新宿から若者が離れていきます。

「これからは渋谷だ!」

1973年『PARCO(パルコ)』開業。
1979年には『109(マルキュー)』開業。
…でも「渋谷=若者の街」へと
すぐに変わったわけじゃない。

「若者の街」のイメージが定着するのは、
1990年代の「バブル崩壊」以後。
意外に最近のことなんですよ。
景気が悪くなる。109も売り上げを落とす。
そんな中、ある一つの店だけが
収益を変えずに維持していた。
それがハイティーン向けの服のお店…。

「選択と集中だ!」

1995年、マルキュー、全面リニューアル!
ハイティーン向け、ギャルファッションの
お店を集めて開店したんです。
振り切った。
「そんな、声まで変わって」という感じ。
このバクチが、当たった。

90年代は、まだスマホもSNSも無い。
ギャルのファッション情報は
雑誌やテレビが頼りでした。
1999年には「私たちカリスマ店員」
という特集が、雑誌で組まれる。
テレビの取材が殺到する…。

◎『109=カリスマ店員=ギャルファッション』

こんなイメージが植え付けられて、
全国のギャルがカリスマ店員に会いに来ます。
服をどんどん買っていく。
109は「ギャルの聖地」に…。

折りしも90年代後半、
安室奈美恵さんが大人気になっていました。
1996年の流行語大賞は「アムラー」です。
「コギャル」「ガングロ」も大流行!
そう、渋谷は1990年代に
若者の文化の「センター」になったのです。

そのイメージに乗って、渋谷は
「ITベンチャーのオフィス街」にもなる。
若き経営者が、時代の最先端の業界に
挑戦するのにふさわしい街だ、と思われた。
アメリカのシリコンバレーになぞらえて
「ビットバレー」とも呼ばれます。
まさにバレー、谷!

…ただ、盛者必衰、と言いますか、
2000年代には皮肉にもそのITの発達により
「モノを買いに来る街」渋谷が
苦境に陥っていきます。

ネットで注文、家に配送。

そう、無理に現地に行かなくても
簡単に物が買える時代
になったんです。
百貨店の売上が、どんどん落ちていく…。
(2019年には全盛期の約6割)

◆1970年代、新宿から渋谷に若者が移動
◆1990年代、ギャルファッションの聖地
◆コギャル・アムラーや、ビットバレー
◆でも2000年代から百貨店の売上が減少…

はい、そんな中、渋谷では
再開発計画が進んでいる。
計画の主なテーマは、こちら!

◎「経済優先の街から人のための街にする」

物を売る、買う、だけではなくて、
人が心から充実できる街にする。
若者だけではない。老若男女は問わない。
渋い顔が笑顔へと変わる街…。

この再開発は2027年に一段落します。
既に完成・開業している施設も多い。
大きなプロジェクトは、次の9つ。

◆「渋谷ヒカリエ」:2012年開業済
◆「渋谷キャスト」:2017年開業済
◆「渋谷ブリッジ」:2018年開業済
◆「渋谷ストリーム」:2018年開業済
◆「渋谷ソラスタ」:2019年竣工
◆「渋谷フクラス」:2019年開業済
◆「渋谷駅桜丘口地区」:2023年度竣工
◆「渋谷二丁目17地区」:2024年度開業


◆「渋谷スクランブルスクエア」
2019年、東棟開業済
2027年度に中央棟・西棟が開業予定


特にこの「渋谷スクランブルスクエア」。
地上47階・地下7階!
高さは実に「約230メートル」です。
谷底の街にある天空の城…。

最後に、まとめましょう。

本記事では「若者の街」としての渋谷から、
「人のための街」の再開発まで書きました。
『渋谷学』の著者、石井研士さんの
コメントを引用して本記事を締めます。

(ここから引用)

『私は、渋谷の利用者は主に
4層からなっていると考えています。

1つは、いわゆる若者たち
センター街や奥渋などで遊ぶ
10代、20代の層です。

2つ目はシニア層
ヒカリエやスクランブルスクエアに
入っているショップも、年齢の高い方を
意識したラインナップが多くあります。

そして3つ目は、IT・デジタル関係の企業です。
IT企業も多く存在します。

そして、4層目として
そこに暮らす地域住民もいます。
秋頃には地域のお祭りである
「金王八幡宮例大祭」も
開催されています。
各地域の御神輿がSHIBUYA109の
目の前に集まって、ここから
各町会へ分かれていくんです。
とてもユニークな風景ですよ。

休日なので買い物客や
若者もたくさんいるのですが、みんな
それぞれの目的を持って行動しているので、
立ち止まって御神輿を見る人もいれば、
各々の目的地に進んでいく人もいる。

浅草のように全員が
祭りを楽しむわけではなく、
それぞれ自分の楽しみのために
渋谷にやってきている。

(引用終わり)

…本記事を読んで、読者の皆様の
渋谷のイメージは、どう変わりましたか?
今、まさに変わりつつある渋谷。
多様性が共存する谷に、行ってみませんか?

※引用した石井研士さんの記事はこちらです↓
『多様性の街・渋谷の秘密とは?
『渋谷学』の著者・
石井研士さんが読み解く90年の歴史』↓

https://shibuya-city-record.tokyo/citystory/article/article-001/

※こちらの記事もご参考に。
『100年に1度の大規模再開発!
渋谷はどう変わるのじゃ?』↓

※東急の『渋谷再開発情報サイト』↓

◆副都心の「新宿」の話はこちら↓
『二人のKIHEI ~新宿、古今東西南北~』

◆副都心の「池袋(と巣鴨)」の話はこちら↓
『巣鴨プリズンの闇と光 ~どこにあった?~』↓

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