「世界の祭り」三つ、「茨城の奇祭」四つ
祭りとは「ハレの日」であり、
通常とは異なる雰囲気、解放感、心機一転感、
そういったものを味わう日でもありますよね。
そこで本記事ではさまざまな「祭り」を
紹介してみます。
まずは「世界の祭り」から。
私の主観で取捨選択して、三つだけ紹介します。
①インドネシアの「レバラン」
レバランとは「ラマダン明けの大祭」のこと。
ラマダンとはイスラームにおける断食月です。
インドネシアは、
世界最大のイスラームの人口を誇る国。
国民の9割近くがイスラム教徒であるため、
ラマダン、断食月中は
ほとんどのインドネシア人が
日の出から日の入りまでの間、
食べ物を口にしません。
それが、明けるんです!
2023年は、ラマダンが3月22日から4月21日。
この断食月が明ける4月21日から4月26日は、
休みになる企業や公的機関がほとんど、です。
…そう、社会的に一斉に休みになるほど、
この「レバラン」は
イスラームの人にとって重要な祭りなのです。
特に、2023年は4年ぶりに
新型コロナウイルスの影響による
移動制限がないことから「1億2000万人」が
一斉に移動する、とも言われています。
日本で例えてみれば
「お正月やお盆」の感覚に近いんですね。
会社からはボーナスが配られ、
親から子どもにプレゼントやお金をあげる。
(お年玉、みたいですね)
国民の大半が実家へ帰省します。
インドネシアのジャカルタは
「世界一の渋滞都市」なんですけれども、
このレバランの時期だけは大半の人が
帰省するため、渋滞が解消されるそうです。
断食月が終了したその日の夜
(2023年なら4月21日の夜)には、
至る所でパレードが開催されます。
まさに皆で「お祭り気分」になるのです。
②リオの「カーニバル」
世界のお祭り、と聞いて
真っ先にこの「リオのカーニバル」を
思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
情熱と熱狂の国、ブラジル。
その南東部、リオ・デ・ジャネイロ。
通称、リオ。
サンバのリズムなどで踊り明かす、あれ。
2023年には
2月17日~2月25日に行われました。
リオのカーニバルはリーグ制を採っています。
コンテスト形式なんです。
衣装やテーマ性、踊りや楽器隊の演奏など
10項目に分けて採点、その採点の合計で
その年の優勝を決めます。
一部リーグで最下位のチームは
2部リーグへ降格。
逆に2部リーグの一位のチームは
1部リーグへと昇格できます。
(…何だかJリーグに似ていますね)
そもそも「カーニバル」とは何でしょう?
これは「謝肉祭」とも呼ばれ、
もともとはキリスト教会の祝祭から来ています。
ラテン語の「carnem(肉を)levare(取り除く)」
を語源としていまして、
「肉に別れを告げる宴」「断食の前夜」を
表す言葉から来ているそうです。
キリスト教(西方教会)には
「四旬節」と呼ばれる期間があります。
イエス・キリストの復活を祝う
「復活祭」の40日前から
(日曜日は入れないので、実際には46日前から)
この四旬節に入ります。
「節制の精神」で自らを振り返る期間!
この「四旬節」の語源は
「クアドラゲシマ」(Quadragesima)。
ラテン語で「40番目」を意味する言葉。
初代教会において復活祭の前に行っていた
「40時間」の断食のこと、だそうです。
その厳粛な期間に入る前に
行われていたのが「謝肉祭」なのです。
復活祭が3月~4月あたりですので、
40日前のカーニバルは、2月~3月あたり。
(年によって変わります)
…と、ここまで書いておいてなんですが
元々「カーニバル」という祭りは
キリスト教とは無縁の祭りで、
実は異教の風習でもあったそうです。
それがキリスト教が広まるにつれて
この謝肉祭とカーニバルが結びつき
皆で楽しく騒ぐ祭りの日になっていった…。
このあたりは日本でも定着しつつある
「ハロウィン」とも似ていますね。
ちなみに謝肉祭の最終日は
「マルディグラ」と呼ばれ、フランス語で
「肥沃な火曜日」の意味の言葉。
アメリカやヨーロッパの各地では
パレードや音楽にあふれる
祭りの日になっています。
③インドの「クンブメーラ」
イスラームやキリスト教に比べて
インドローカルの宗教ですので
なかなか日本では知られていない
「ヒンドゥー教」。
そのヒンドゥー教の祭りの一つが、
「クンブメーラ」です。
クンブとはサンスクリット語で「水がめ」。
メーラとは「集まり」の意味。
ヒンドゥー教の天地創造神話として、
「乳海攪拌」というお話があります。
ものすごくはしょって言えば、
ヴィシュヌという神様が
多種多様の植物や種を海の中に入れて、
どんどんかきまぜて、
色々なものを生み出した、というお話です。
その「乳海攪拌」の後に、
神様が「不死の妙薬」をたたえた「水がめ」を
運んだのですが、しずくが滴って地に落ちた。
その「しずくが落ちた場所」と
ヒンドゥー教徒の間で信じられている場所で、
このクンブメーラが行われるそうです。
3年ごとの持ち回りで、場所が変わる。
ハリドワール、イラーハーバード、
ナシク、ウッジャインという場所。
さて、そこでいったい何をするのか?
…「沐浴」ですね。
聖なる川での、沐浴です。
ガンジス川の沐浴は有名ですが、
このような祭りでも行うんですね。
「西遊記」でも有名な
「三蔵法師」こと唐の玄奘の時代にも、
すでに行われていたそうです。
「西遊記」の元になった
7世紀の頃の見聞録である
『大唐西域記』にも、その記載があります。
この伝統は、現在でも綿々と続いています。
規模も、どんどん膨れ上がっている。
一説では、過去の一回の祭りに
「約一億人」!もの人が
このクンブメーラに参加した、
とも言われています。
(もっとも、厳密にカチカチ来場人数を
数えているわけではないでしょうけど、
とんでもない人数ですよね…)
ここまでをまとめます。
「世界の祭り」の概要だけを
三つだけ紹介しました。
なかなか日本だけに住んでいては
想像しづらい、ものすごい規模の祭り!
しかし、その地域の人にとっては
人生にとって欠かすことのできない
重要な行事、です。
当然、その地域を理解したり、
地域の人のことを理解したりするためには
欠かせない情報だ、と言えましょう。
現在では、動画などもたくさん
見ることができます。
興味の出た方はぜひ検索してみてください。
さて、読者の皆様の地域の祭りは、
どんなものがありますか?
その祭りには、いったい
どんな由来があるでしょうか?
※もちろん他にも世界の祭りはたくさんあります↓
ご参考にぜひ。
さて、ここからは日本の祭りに目を向けてみましょうか。
その一例として、茨城県の「奇祭」を紹介します。
奇祭。
なぜ?こんなことを?と思う
奇妙な祭りのこと。
これまた数えきれないほどたくさんありますが、
四つだけ、紹介してみますね。
①タバンカ祭り
昔々、お寺で出火した際に
畳と鍋で火災を消し止めた、
という故事を再現する神事、です。
『火の粉を浴びると
火災の厄難除けになる』と
言われています。
松明を振り回しながら
境内を駆け回る人たち。
時には観客に向けて
火の粉が浴びせられる、
ということもあります。
(アツイですよね…)
勢いよく燃え上がる火を囲み
畳や鍋ぶたを
力一杯石畳に叩きつける!
この時に発する
バタンバタンという音から
タバンカという名前がついた、
とも伝わっています。
②あんこう祭り
茨城の冬の味覚であるあんこう。
これを堪能する祭りです。
太平洋に面する、大洗町で開催。
特設ステージでは
あんこうの吊るし切りや、
町内の郷土芸能披露などが行われます。
テレビアニメ『ガールズ&パンツァー』、
戦車で戦い合う少女たちの物語、
いわゆるガルパンの舞台でもある
大洗町で開催されるために、
声優さんのトークショーも行われ、
ガルパンファンのお祭りとしても有名。
全国から熱狂的なファンが
押し寄せるとのことです。
戦車をバックに記念写真も撮れます。
③提灯竿もみ祭り
市内各団体が、20メートル近い
竹竿の先につけた提灯を
激しく揉み合いながらも
相手の提灯の火を消し合う、という祭り。
現在は、高さ約10メートルの
矢来を設置しており、
各団体がぶつかり合いながらも
竹竿を激しく揉み合うさまは、
一見の価値があります。
由来としては、鍋釜も割れる
というほどの寒さの中、
『七郷めぐり』という神社を
訪ね歩く人たちを迎える行事から。
『お帰り』を待ち受ける人々は、
この寒さをしのぐため、
手に手に竿を持って揉み合い、
暖をとったそうです。
この『お帰りの夜の揉み合い』が
現在の提灯竿もみ祭りの直接の原型。
ゆえに、この祭りを『お帰り』と
呼ぶ人も多いそうです。
④悪態祭り
白装束で天狗の格好をした
13人の天狗が、16ヶ所の祠へ
お供え物をして回る。
この時に、参拝者同士で
「ばかやろう!」「早く歩け!」など
罵声を浴びせ合い、
お供え物を奪い合う、という
かなり奇妙な祭りです。
怨霊や疫病を退けるためとか、
領主が住民の日頃の不平や不満を
悪態の中から探ろうとしたとか、
由来にはさまざまな説があります。
このお供え物を奪い取った人は、
幸せになれる、と言われています。
「さっさと歩け、バカヤロー」
「給料あげろよ、コノヤロー」
「既読スルーか、バカヤロー」
「とにかく、バカヤロー」
神官の方は何を言っても
無言で聞き流してくれる。
憂さ晴らしには最適、だとか…。
奪い合いが終わったら、
天狗による餅まきも始まります。
悪態の仕返しか、餅が頭に当たると痛い。
最後は万歳三唱ではなくて、
悪態三唱で締めるそうです。
以上、茨城県の四つの奇祭の紹介でした。
◆こちらの記事を参照にしました↓
人が住むところ、祭りがある…。
人は祭りをする生き物、なのです。
もう一度、お聞きします。
読者の皆様の地域では、
どんな祭りがありますか?
その由来は、何でしょうか?