曇り水晶

今はもう失くしてしまった輝きを憶えている


かつてあった この中に確かに

無くなったワケじゃない 未だここにある 曇ってしまっただけ

今こうして生み出そうとしても、それはかつての輝きを宿しはしないのだろう

純粋な煌きは失われ 私は曇ってしまったのだろう

この手にある水晶玉は覗き込んでも煙をくゆらせるばかりで かつての 星を映す湖面のような煌きはない

曇ってしまった事を悲しくは思うが輝きを取り戻そうとは思わない

この水晶でも生み出せるものはあるだろう

あの頃の純粋な輝きはもう易々とは生み出せないだろうけど 似た輝きを作ることならできる

あの頃とは違い易々と生み出すことはできないだろうけど


私は私の生み出す世界を輝かせたい

自ずと輝いてくれていた世界はもうない

だから 今度は磨きながら輝かせよう

曇るのなら 丁寧に磨いてやろう

それで少しでも光を持つのなら

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