子どものための精神医学
2017年に発売されたこの本。初版で購入しました。あれから、3年。
マニュアル通りにいかない子育てに苦悩しながら、2020年4月に長男は中学生になりました。緊急事態宣言がでているため、学校には通えていません。
この本から一つ切り出して書いてみます。
◆「認識」と「認知」の区別をつけることの難しさについて
ネズミとチーズとコーヒーカップの事例も載っていましたが、ネズミはテーブルの上にあるチーズとコーヒーカップを認知はしていても、コーヒーカップは食べられない(認識)ということを知りません。
人間同士の社会性の発達において、この「認知」と「認識」の差を埋めるものは、経験が大きい訳です。人間が「認識」を深めていく過程において、生活環境の要因は本当に大きいことを実感しています。
長男は、小学校1~2年を福岡ですごし、3年生を名古屋で過ごし、4年生から都内に移ってきました。転校を強制的に重ねてきた本人のメンタルを考えると無理をさせてごめん!としか、母親としては言うことができませんでした。
言語能力の発達、人間関係の構築、自分は何者であるのか、そういう学童期に獲得すべき勤勉性や安定した生活環境を奪ってしまった転勤というシステムを破壊したくてたまらないほどに、親も苦労したし、何よりも本人が苦労し、メンタルを傷つけもしたはずです。しかし、この経験によって、強くなったことも事実です。
母親という母体から出てきて、成長し、探索していく子ども視点に立つことは、母親としては様々に難しいのですが、「キャリアカウンセラー」としてメタ認知してみれば、子どもの成長の過渡期をリアルタイムに寄り添える醍醐味は、とても興味深いです。
自分が0歳だった頃の記憶はありませんが、息子が0歳だった時の様子を一番よく知っているのは「母親」だと思います。
この、「子どものための精神医学」は、我が家の発達支援におけるバイブルとして、育児に困ったときに振り替えることができる基本的な書籍となっています。
三世代同居しているわけでもなく、子育ての昔ながらの知恵も時代の変化によって活用しきれない場面も非常に多い現代です。
様々な社会課題の解決の糸口もこの本の中にはちりばめられています。
育児中のお母さんお父さん、そして、保育や教育にかかわる皆さん、本当に子どもについて親身になって考えている人ならば、手放せなくなる本だと思います。
思春期の発達課題を解くヒントも満載です。愛用しています。