エリックとエリックについてのはなし
FaceBookでこのツーショット写真が流れてました。恐らく90年代頃の写真でしょうか。
左は知ってるけど、右、誰?という人のために
左のエリックはもう誰もが知っていると思います。ギターあまり分からない人でも少しでも音楽に興味があれば名前は聞いたことある、というくらい、知名度高いでしょう。ビートルズまではいかないかもしれませんが、ギター界・現代音楽界のレジェンド。
右のエリックは、まさに「知る人ぞ知る」エリックですね。知らない人のために説明しますと、私が
「地球上で最も美しいトーンを奏でるギタリスト」
と思っている、エリック・ジョンソンです。
ギターやってる人でも知らない人が多いくらい。グラミー賞も取っているのですが、それでも知名度ってそんなものなのですね。でも、海外の大物ギタリストはこぞって彼のプレイやトーンを絶賛するくらい、最高峰の極上トーンを生み出すギタリストです。
トーンの美しさだけに限って言えば、左のエリックは足元にも及ばないくらい、と私は思っています。エリック・ジョンソンはクリーム時代のエリック・クラプトンのトーンを目指していたらああなったようですけどね。
ファーストコンタクトの衝撃度は?
結論から書くと、ファーストコンタクトの衝撃度は、私は
「圧倒的に」エリック・ジョンソンのほう
です。大事なので、もう一度言います。いや、もう、「圧倒的に」です。
どちらのエリックも大好きで、もうずいぶん長く聴いています。それぞれのファーストコンタクトの思い出を「正直に」書いてみたいと思います。
エリック・クラプトンとのファーストコンタクトの印象
エリック・クラプトンに出会ったのは80年代後半くらい。私の中ではその時すでに「昔の凄いギタリスト」というイメージでした。当時はエディヴァンヘイレンやイングヴェイなどが出てきて少し経過した時代であり、HR/HMがまだまだ熱い時代でした。
次々に出てくるハイテクギタリストの中、それでもTVの音楽番組や雑誌などでベストギタリストとしてエリック・クラプトンが選ばれたりしていました。
しかし、そのプレイを聴いても、ライブ映像を観ても、まぁ、こういっちゃなんですが、私にはそんなに凄いと思えなくて、「普通」に聞こえたのですね。
「なんでこの人が一番なんだろう?もっと凄い人沢山いるのに」
としか思いませんでした。
なので、私の中では、エリック・クラプトンのファーストコンタクトは
「たいして衝撃的ではなかった」
のです。ファーストコンタクトの衝撃度で言えばスティーヴィー・レイ・ヴォーンの方が遥かに上でした。
私は影響が大きかったクリーム時代の激しいプレイを通っていないので、過去の偉業を知らず、そういう「偉人バイアス」がかからずに見た80年代頃のクラプトンを客観的に観たときの印象はそんな感じでした。
で・・・実は、それは今も変わっていません。
私がクラプトンが凄いと思うのは、
ソングライティング
ブルースを現代音楽として再構成して認知させた
という偉業のほう。ギタープレイで言えば、
一度聴いたら忘れないくらい印象に残るテーマメロディワーク
唯一無二の美しい人差し指の縦ヴィヴラート
かな。でも、"ギタープレイに限って"は、それくらいです。クラプトンは、ギターではなく、トータル的なミュージシャンとしてのほうが魅力の本質、と思ってます。
エリック・ジョンソンとのファーストコンタクトの印象
エリック・ジョンソンと出会ったのは、クラプトンを聴き始めた後、その流れでジョニー・ウィンターやスティーヴィー・レイ・ヴォーンに出会ってハマった後です。
当時は"ギタープレイに限って"は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのほうがクラプトンより圧倒的に衝撃度が高く、ライブパフォーマンスも含め遥かにSRVのほうが好きでした。
そんな中、SRVと同じテキサスから出てきたルーツ・ロックを踏襲したギタリスト、ということでエリック・ジョンソンの名前を知り、何気なくCDを買ってみることにしました。それが2枚目のアルバム「Ah Via Musicom」でした。
CD屋から家に帰りながら車のCDで流したとき、初めて聴いた時の衝撃は忘れられません。
「な、なんじゃこりゃ」
今までのギターに対する考えが根底から覆された。
そのくらいの衝撃を受けました。
特に、今まで聴いたこともない
「まるで天空から舞い降りてくるような美しいフレーズとトーン」
には、聴くだけで異次元に連れて行かれてしまうような不思議な感覚を覚えました。
エリック・ジョンソンの曲は、カヴァーされるのが同じジャンルのギター界隈の人たちではなく、チェロやヴァイオリンなどのように異ジャンルのプレイヤーの方が多かったりするのも、彼の音楽性の方向性がよく分かるポイントだと思います。
私が思う、それぞれの欠点
リスナーとして、ファンとして、あえて好き勝手書いてますが・・・どちらも好きなぶん、欠点も見えてきます。
私が思うエリック・クラプトンの欠点
ブルースシンギングはあまりうまくない
ギターフレーズがマンネリ
1.に関しては、もう、長年続けていて彼の歌とも完全にリンクしてしまっているので、書くほどのことではないと思いますが・・・
BBキングやジョン・リー・フッカー、Tボーンウォーカー、マディウォーターズなど黒人ブルースマンたちのブルースも聴いていた私から見ると、正直、ブルースシンギングはあまりうまくないと思います。
特に、黒人ブルースミュージシャンを意識したっぽいガナリ表現はあまり・・・という感じです。黒人ブルースへのあこがれが強すぎて、本来の声質の適性からちょっと無理しちゃってる感が感じられます。
彼の本質は、「Tears in Heaven」や「Change The World」のような、あくまでブルースをベースとした現代解釈のオリジナル曲。そのオリジナル曲で見せる「自然な歌い方」のほうが私は好きです。
ギターフレーズも、手グセだけで満足させられる域にいる人なので何も言えませんがが、、、正直、新鮮さやハッとする新しさはもうあまり感じません。
「出ました、待ってましたこのフレーズ」という大御所の域に達した、といえばそうかもしれませんけどね。
私が思うエリック・ジョンソンの欠点
ライブパフォーマンスのアピール力が致命的に良くない
これに尽きます。
姿勢が前かがみ過ぎ
観客や他のミュージシャンとアイコンタクト取らなすぎ
指板見すぎ
です。これが、エリック・ジョンソンが「ギターヒーロー」としていまひとつ君臨出来ない最大の原因と思ってます。
あれだけのプレイが出来て、ライブも「音だけを聴いたら」ものすごいプレイをしている。でも、「パフォーマンスの見た目が悪い」のですよね・・・
「音を追求するあまり」なのかもしれませんが、「初心者ですか?」っていうくらい指板を見過ぎで、観客や他のミュージシャンとのアイコンタクトやコール&レスポンスをまるで取らないのですよね・・・エリック・ジョンソンももういい歳なので、誰も何も言えないし、もう治らないだろうなぁ。近年のライブを見るとこれがさらにひどくなっている気がします。
この点だけが残念です。「ディスり」とかではなく、長年ファンだからこそ、あえて書いています。
まとめ
以上、私の「エリックとエリック」についての話でした。ググれば分かるようなプレイ分析や音楽的な功績だけでなく、こういう、個人個人が感じたギタリストにまつわる思い出話など、もっとあったらいいな、という気持ちで書きました。
読んで頂きありがとうございました。ではまた。