インシデントことシステムのエラー
何かミスやトラブルが起きたとき、看護師はインシデントレポート(時にアクシデントレポート)を書く。しかし残念ながら看護業界のインシデントの原因には「多忙であった」「確認不足」と個人に焦点が当たり、解決策には「注意する」と精神論で締めくくる内容が多い。専門職である私たちはミスが原因で患者さんに実害があった時「ごめんなさい」では済まされない。だからこそインシデントの時に「個人」ではなく「システム・プロセス」にエラーがあると仮定して対策に取り組む必要があると感じている。
システムの見直しは大変なのか。
実はそんなことない。
むしろ個人の「気を付ける」「よく確認する」なんて時間が進み、人が変わることで何の効力も持たなくなる。
つまり、季節の変化・人事の変化でまた同じようなミスが起こり再三レポートを書く時間、それを注意する上司の時間。患者も同じようなリスクに晒される。長い目で見るとシステムの見直しこそコスパが良いのは明白。
ヒューマンエラーは愛すべき人間の特徴
ヒューマンエラーとは
意図せず許容範囲から逸脱し、期待に反した行動をすること。(うっかりミスのことだね)
その原因は認知・思考・経験・精神が引き金となるが、知識や経験を積んだら積んだで「長期記憶の組織化」という心理が「業務効率化」を図ろうとして思わぬミスが起こる。
いくつになってもヒューマンエラーからは逃れられない。
ヒューマンエラーは結果、システムエラーが原因
具体的に事例を上げる。
①入院したばかりの患者が夕方転倒した。
→頻回に訪室する。転倒に注意する❌
→認知症の診断があると事前情報があるならクリップセンサー等の検討を夜勤者へ申し送る前に統一する。⭕️
②緊急時の投与薬剤量ミス。
→勉強する。注意する。❌
→その場で薬剤の希釈することが分かるように、救急カートに掲示する。⭕️
③同姓患者の内服誤投与
→確認不足❌
→同姓患者がいる場合、内服管理カートの名前を色分けする⭕️
等だ。
つまるところ解決策とは、
誰がいつやっても間違えない仕組み作り
ミスの兆候を気づかせるシステム作り
のことだ。