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CD:白い花の咲く頃 と いちごサンセット 。日本のうたを聴く

3月3日は、女王蜂の武道館公演の日だけれども、忌中なので行くのは断念した。

だから、女王蜂の音楽を何か聴こうと思いつつ、聴いたら行きたくなるので、違う音楽を。

時勢柄なのか、霧島昇の《誰が故郷を想わざる》なんかが真っ先に頭を過ったけど、それならば、寧ろ、《白い花の咲く頃》がいい。

無性に岡本敦郎さんの声が聴きたくなった。

藤山一郎や霧島昇の方が大歌手というのは解っちゃいるけど、やっぱり一番好きなのは岡本敦郎なんだよ。こればかりは世代の問題なのかな。僕にとっては、この人は本当の意味でのコンテンポラリーだと思ってるから。

・朝はどこから
・さよならマルセーユ
・高原列車は行く
・ピレネエの山の男

云々、

岡本さんの声で聴くと、どれも掛け値なしに好い。

これは、もう、曲よりも声だな。

少し不器用で華のない声なんだけど、永遠の青春がここにある。

それは、85歳の時にNHKで披露した時も、少しも変わらなかった、というより、増していた。
(YouTuberで、時たま見掛けるのは、その2年前の時の収録ばかりで、あちらは、衰えが激しくて、聴くのが辛い...)

あの映像、何とかして、もう一度観たいものだけど、想い出として、一層、輝かせておいた方が幸せなのかも知れない。


そして、今、岡本敦郎と同じくらい、自分の中で来ているのが《いちごサンセット》


アニメ『佐々木と宮野』のエンディングに流れる、所謂、キャラソンという類いの音楽で、歌手ではなく如何にも声優の発声なのだけれども、中々どうして、これが好い。

名作とか名曲と言う様な音楽かは兎も角、『佐々木と宮野』のピュア過ぎる世界がよく詰まってて、掛け合いの妙味に尽きる。

日本の文化の良さってのは、案外に、こういうもんじゃないのかな、と錯覚してしまう程だ。

白井悠介と斉藤壮馬という、女性に大人気の若手声優らしいのだけど、この人たちに限らず、ここ10年くらいの声優の歌には、独特の美しさがあるものが多い気がする。

それは、もふもふ、とか、天月-あまつき-とか、YouTuberの歌い手にも、共通なものがありそうで、純然たる上手さじゃない、親近感みたいなものがあって、明治に始まった文明開化の波が、歌謡の面でも遂に実を結ぶ秋が来たのかな、という感慨すら覚える。

人間の声、日本語の魅力。そういうものを欲した時に、聴きたくなる音楽。

岡本敦郎もささみゃーも、そういう歌だ。

勿論、シューベルトの《冬の旅》とか、ヤナーチェクの《女狐》は最高なんだけど、時々、あれは外国の音楽っぽいな、って感じてしまう事がある。

その舶来品感がまた、日本人の心によく馴染むし、懐かしさだってあるのだけれども...

男声ばかり挙げてしまったので、最後に、ちあきなおみを。

《祭りの花を買いに行く》

これは友川カズキ本人のカバーも好きだけど、ちあきなおみという人の声が何とも言えない。

日本の女声では断トツだと思う。

そもそも、ハンガリーのメゾ・ソプラノ、ユリア・ハマリとちあきなおみ、女声で好きな歌手は、今のところ、この二人だけ。

男声は少し細くて抜けのある声が好きだけど、女声は太めで愁いのある声に惹かれる。

ここまで、来ると、やっぱり、超ハイブリッド歌手のアヴちゃんが聴きたくなっちゃうな。

《火炎》でも聴きますか。

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