カメムシ
何かで頭が一杯になった時や、ストレスがたまった時など、あらゆる気持ちを切り替えたいタイミングで、私はいい匂いを嗅ぎたいと思う傾向があります。匂いによって得られる情報に集中することで、脳内をコントロールしているのだと踏んでおります。
初めはアロマオイルのような物をひたすら嗅いで回っていましたが、なんとなく手を出してみたとあるフレグランスのブランドに妙に惹かれて、今はそこの物を中心に嗅ぎ回っています。品質に信頼ができるブランドだからでもありますが、人の手によっての調香された分、香りに情報量が多いからかもしれません。
香りにこだわりがあるように見えて、好きか嫌いかでしか結局嗅ぎ分ける事はできていないのですが、物凄い種類の香りを嗅いできたため、なかなか鼻が利くようになったのではないか、と自信を持ち始めました。事実、誰も気が付かなかった排水管の異常にいち早く気が付いたのです。
ですが、ふと、ナイトスクープで「カメムシの臭さがわからない」という依頼があったのを思い出しました。その依頼主さんは結局、どんなにカメムシが臭いを発しようと、臭わない体質であることがわかりました。私も、カメムシを臭いと思ったことが一度もありません。嗅覚に自信を持ち始めたのに、自分には感じ取れない臭いがこの世にあるかもしれないのです。
もちろんカメムシを見た事はあるし、家に入ったカメムシをティッシュで包んで外に逃がしたこともあります。考えてみたら「カメムシは臭い!」としっかり教育を受けてきたため、臭いを発しないように最善の注意を払い続けた結果、臭っていないということもありえます。そう思うと、意外とカメムシは臭いを発することは少なく、私のように臭いと思ったことがない人は多いような気がしてきました。
果たして私は「カメムシの接し方が上手い」だけなのか「臭わない体質」なのか……。そして「カメムシはどう臭い」のか……。ここまでくると試してみたくなるのが、人というものではないでしょうか?
試しませんけど。