われ、われをねぎらう
立派だったね
……そう言ってくれた。
わたしがわたしをほめてくれることは珍しい。
なぜほめてくれたのか、聞いてみた。
自分の心に正直に行動したこと
あなたがあなたであることを
諦めなかったこと。
わたしは見ていた。
あなたが、まるでわたしのこと
好きでたまらないみたいに振る舞う妖怪・白澤に
抱き締められるのを。
そしてまたその軽いけれどほんとうの好きに
癒されるのを。
触れられて、熱くなって、火遊びをしようかと思ったこと。
たくさん考えて、とうとう大好きになってしまったこと。
そうなると一緒にいられないから、火遊びはしないで離れたこと。
そのあと、モノガミーの契約の存在を知って、当人たちの総意でなければ、大好きな人がモノガミーの契約を一方的に裏切る片棒は担げないと、はっきり自分と約束したことを。
わたしは見ていた。
あなたが心すべてを預けるほど
存在のコントロールを自ら委ねるほど
自分を見失っても
たとえ相手を傷つけても
その愛情を選ぶほど
制御不能な愛情をソウルメイトに抱いていたのを。
あなたがそれに気づいて、私にとって良くないと
思うようになったことを。
そうして、あなたが、
ほとんど相手をうらみそうなくらい
すれすれの闇から帰って来て
自分自身の感情を動かすことで
あなた自身を取り戻したのを。
わたしは見ていた。
あなたが二度と新しく心を深く繋げない
今までの繋がりもうわべだけのものになると
諦念をいだいていたのを。
それでもあなたがやりたいこと、叶えたい未来、すきな概念……いろんな共通点で集まった人と出会い、心を開いて言葉を紡ぎ、
他愛のない話で笑いあう友人
悲しみや喜びに共感しあえる友人
わたしに抱えてる重荷のこと相談してくれる友人
一緒にプロジェクト進める仲間
そんな、二度とあなたがあなたのまま
その中にいられるとは思えなくなっていた
人との繋がりの中にいつの間にかいることを。
あなたが、どうしようもなく
あなた自身でい続けるのを。
立派だよ。わたしはあなたを誇りに思うよ。
ありがとう。
少し過激な悪意を向けられたときも
仕事の負荷が臨界点を超えたときも
わたしはわたしのままでいられた。
自分の感情に正直に、怒ったり泣いたりして、
すぐに戻ってこられた。
少し不思議だった。
でもこうやってわたしであり続けて
人と心を繋いできたから?
わたしは基本応答性なので
わたしと繋がりたいと思ってもらえるわたしでいられたから?
ならわたしは、今まで以上にわたしである精度が
上がっている。
いろんな人に感謝だな。。。
くすっと小さな笑い声が聞こえた。
だから、わたしがあなたをほめたの
他でもないあなたの努力を
かなわないなぁ。これだからわたしはわたしが一番好きって思ってしまう。
みなさんもどうぞご自愛を。自分自身から心からのほめ、気持ちいいですよ。
(了)