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「名言との対話」 10月13日。ラーマ9世(プミポン国王)「そんな事でタイ国民のためになると思うか、双方ともいい加減にせよ」
ラーマ9世(タイ語: รัชกาลที่ ๙、1927年12月5日 - 2016年10月13日)は、チャクリー王朝第9代のタイ王国の国王(在位:1946年6月9日 - 2016年10月13日)。
スイスのローザンヌ大学を卒業。1946年タイ国王の即位。1950年に王族と結婚。 若い時代の象徴的役割から、民政移管と軍事クーデターの繰り返しの中で、軍政と市民運動に硬軟両様の対応をとった。アセアン諸国連合の発展につれ、官僚、軍部、市民運動などの調停役をつとめるようになり、失墜していた王家の威信を回復した。
1992年の「暗黒の5月事件」では、軍部を背景とする首相と、対立する市民運動指導者と対坐し、両者を「そんな事でタイ国民のためになると思うか、双方ともいい加減にせよ」と叱りつけて、騒乱をおさめた。1997年のアジア通貨危機では「足るを知る経済」の概念を提唱した。2003年のカンボジアとの小競り合いでは、暴徒を鎮めた。2006年には下院総選挙のやり直しを実現させている。
国内政治に対して直接の干渉をせず、利害関係の調停役として采配を振るい、困難な情勢の打開収拾に手腕を見せ、国民に高い人気があった。2016年6月9日は在位70年を迎え、存命中の最も在位年数の長い君主となった。
以下、国王としての発言から。
・我々は、タイの人々の利益と幸福のため、義に支配されよう。
・国の繁栄は、最優先に農業の繁栄を保証することに依存する。
・新しい道はみんなが十分に食べていけるものだ。決して裕福ではないが、空腹になることはない。
・水を飲み、水を使うことは生きるのに重要だ。水があれば生き残れる。電気がなくてもやはり生きられるが、水がなくては生き残れない。
・良い人は他人をも良く出来る。つまり、良いことは社会の良いことを引き出す。他の人もまた良いと感じることを。
・自然とは自身の外の何かだが、精神は自身の内にあるそのもの。
・即位50年を過ぎた今、もう50年後のお祝いを期待している。
・現在の50年に渡る治世を記念して、統治が始まってから現在までタイ王国が経験した変化について、将来的にそれが未来の私たちの行動に教訓として生かすべく研究が存在しなけばならない。
・国民の働く意志は、国家存続にとって最良の保証だ。
・多くの外国人がタイに行き来しているが、タイを愛する人々は同じく旅行にたくさん行く人々、と主張できるだろう。
・タイの歴史の中で次から次へと不和があったが、総合的には団結が打ち勝った。
・現在まで振り返ってみれば、いかなるときも変化を経て前進した。その変化は自分によるものではなく、国のすべての人の所業から来ています。
・誰もが自分自身を正す必要があります。対処することはより困難なものであるが、それは不可能ではありません。
・良さとは、人を穏やかで幸福にすること。それは素晴らしいとです。良さのない人間は悪です。
・自然災害により困窮することもあるが、軽減または対処してきた。必要なのは時間だけ。
・タイ社会の生存に重要なことは、政府と民間の両方で働く人々の多くが、依然として同じ方向を目指して努力していくことです。だからこそタイはまだ生きています。
・この世界の多くの国々は困難な状況にあり、おそらくタイの人々の全てが国家の運命を心配している。国が生き残れるかかどうかだ。
・タイ王国の達成は、国のすべての住民の能力と行動に依存します。
・多くの悪い人がいて、昔よりも増えたことは確かだ。しかし国民は3倍になったのだ。悪い人も3倍増えるにちがいない。
70年という長い期間、王であった国王に匹敵するのは、 25歳で即位し、在位期間は62年で歴代最長となった日本の昭和天皇と、同じく1952年の25歳での即位から、2020年現在で68年になる英国のエリザベス女王くらいだ。
タイは 長く独立を保ち、現在も君主制を採用しており、日本の皇室とも縁が深い。プミポン国王はホンダ・アコード、オニツカタイガーなどの愛用者であり、日本製品のファンとしても有名だった。キヤノン製の一眼レフカメラを長年愛用していた。地方視察時には必ず持参した。一眼レフカメラを首から下げた姿の写真はメディアでよく目にしたものだ。
プミポン国王はその威徳によって国民を統合し国民の敬愛を集めた。国王は折に触れての発言からうかがえるように名君であり、20世紀半ばからの70年にわたり、タイの安定と発展に大きく貢献した国王であった。