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「名言との対話」11月6日。種村直樹「日本列島気まぐれ列車」

「名言との対話」11月6日。種村直樹「日本列島気まぐれ列車」

種村 直樹(たねむら なおき、1936年3月7日 - 2014年11月6日)は、日本作家随筆家評論家。享年78。

1973年4月 毎日新聞社を退社。鉄道に乗り、気が向いた駅で降り、降りた駅の周辺を歩き、温泉や無名な旧跡を回り、再び鉄道へ乗るという「気まぐれ列車」の旅を実行した人である。

「汽車旅ゲーム」と種村が呼んでいる旅のスタイルがある。例えば、テーマを決めて何日間も車中泊で列車を乗り継ぎ日本を縦断する「乗り継ぎ旅」、ルールを決めて駅や郵便局、温泉などを巡る「ラリー旅」、鉄道線・連絡船バス線を組み合わせた「最長片道切符の旅」などがある。

日本で唯一のレイルウェイライターを自称していた。30年以上続けてきた「鉄道ジャーナル」誌の「レイルウェイレビュー」は、鉄道ファンに人気があり、1974年にはファンを中心にした「種村直樹レイルウェイ・ライター友の会(通称TTTT)」が結成された。フリーになってから15年余で1,000人以上の会員を獲得している。

ライフワークとしては「日本列島外周気まぐれ列車」がある。日本列島の海岸線にそって、なるべく陸路の公共交通機関を使用しながら反時計回りに一周するという企画で、1980年6月に東京都中央区日本橋を出発。2009年6月6日に出発地の日本橋に戻り、30年で完結した。約100回延べ500日にわたって一緒に旅した100人ものファンに感謝している。種村の鉄道の旅は集団の旅だった。

鉄道趣味の人は人数も多く、奥が深い。以下、呼び名だけでも相当ある。鉄道ファン、鉄っちゃん、「鉄道趣味者」「鉄道趣味人」「鉄道愛好者」「鉄道愛好家」、「鉄キチ」、「鉄道マニア」、「鉄道オタク」「鉄道ヲタク」、「鉄オタ」「鉄ヲタ」「オタ・テツ」、、、。尊称、蔑称入り乱れている。

以下、彼らが興味を持つ分野も広い。乗り鉄撮り鉄。編成鉄。集鉄。駅鉄。車両鉄。レール鉄。模型鉄。音鉄時刻表鉄。

阿房列車』の内田百閒、『南蛮阿房第2列車』の阿川弘之、そして『時刻表2万キロ』の宮脇俊三の活躍で、鉄道紀行文学紀行というジャンルが確立し菊池寛賞を受賞している。道中を楽しみ、時刻表極道の珍獣と自らを呼んだ宮脇は、新ジャンルの開拓者とし文学賞を受賞している。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

宮脇俊三と並び称される存在で親交があった。作家兼編集者の宮脇は一人旅、新聞記者出身のジャーナリスト種村はグループ旅行であった。

宮脇より10歳ほど年下の種村は守備範囲は鉄道に関する広い分野に及び、東北新幹線開業などのルポ、国鉄の終焉などをテーマとする時事評論紀行文推理小説などを数多く発表したが、交通文化賞を受賞したのみで、鉄道紀行文学というジャンルの衣鉢を継ぐことはできなかったのではないか。独特の文体もあり賛否両論があり、またラジオのディスクジョッキー、レコードの監修、推理小説執筆などに加え、国の審議会や自治体の委員、財団の評議員にも就任するなど、興味と関心が広く、面白いことが好きで、「気まぐれ」であったためかもしれない。

使命感などと気張らずに、心の赴くまま、仲間との愉快な時間を過ごす。それはそれで、素晴らしい。種村の戒名は「宏鐵院旅遠直鑑居士」。

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