「名言との対話」10月11日。仙谷由人「より正しいことを言っている方が、選挙で負ける」
仙谷 由人(せんごく よしと、1946年(昭和21年)1月15日 - 2018年(平成30年)10月11日)は、日本の政治家、弁護士。享年72。
徳島市出身。東大時代は左翼系学生運動家でフロント(社会主義同盟)のシンパだった。5回生在学中に司法試験に合格し中退。自治労の組織内候補として1990年に出馬し社会党の議員になる。1993年落選。
1996年民主党から当選する。2009年8月に民主党が政権を獲得すると、鳩山内閣で行政刷新相として初入閣し、次に内閣府特命担当大臣(「新しい公共」担当)に任命された。次いで菅内閣の官房長官を務め、優れた能力と多彩な人脈を駆使し的確な判断と指示を行い、高飛車な姿勢とも相まって「影の総理」の異名を取った。「赤い後藤田」との異称もある辣腕ぶりだった。
その後、法務大臣、民主党代表代行などを歴任した。2012年落選。2年後に引退。民主党では、反小沢一郎勢力の旗頭として活動する政治姿勢が私の記憶にある。
官房長官時代の「自衛隊は暴力装置」発言が物議をかもし、実力組織と言い直した。また2000年に起きた中国との領土問題のある尖閣列島沖中国漁船衝突事件では、衝突シーンが映っているビデオ映像の公表が遅れ、那覇地検は仙谷の意に沿って処分保留のまま釈放するという決着を図ったことには批判も多い。行政刷新相として事業仕分けも推進している。
「暴力装置」という表現については、石破茂は「警察と軍隊という暴力装置を合法的に所有するというのが国家の定義」だとして認めていたとして、後に仙谷は反論している。
2018年の自民党総裁選で善戦し敗れたばかりの石破茂と対談し、今の時代は「より正しいことを言っている方が、選挙で負ける」として、石破の方が政策的に正しかったからこそ負けたとの持論を展開し慰めている。この言葉は民主党の代表選びや、自身の選挙での落選も踏まえての感慨だろう。
2024年9月の自民党総裁選で石破は勝った。総選挙は、与野党が入り乱れて、どういう結末になるかはわからない。「選挙で負けた方が正しい」となるのかどうか。