「名言との対話」江田五月「政権の取れる野党の連合を目指して、少々のアバタもエクボと見る訓練を開始すべきだ」
江田五月(江田さつき 1941年5月22日ー2021年7月28日)は、政治家。享年80。
岡山県出身。社会党委員長の江田三郎の長男。東大時代は教養学部自治会委員長として「60年安保」「大学管理法」闘争を指揮し、ストライキを敢行し退学処分となる。後に復学し、法学部を卒業。
東京、千葉、横浜の地裁判事補をへて、1977年社会市民連合代表として参議院議員に当選。1983年には岡山一区から衆議院議員にトップ当選。1990年に社会民主連合代表となる。1993年の細川連立内閣の科学技術庁長官。新進党をへて民主党にうつり、1998年参議院議員に復帰。2007年、参議院議長。2011年に菅直人第2次改造内閣で法務大臣、のち環境大臣を兼務した。
江田五月『国会議員』(講談社現代新書)を読んだ。今から30数年前の1990年の刊行である。
江田五月は、世襲議員を、「お世継ぎ」と呼んでいる。この方がわかりやすい。お世継ぎ議員だ。江田三郎は永年勤続表彰を受けたときに「国会議員二十五年、政権もとれず、恥ずかしや」の一句を揮毫した。
五月の父は岡山一区から出馬したのだが、五月は岡山二区にした。父の地盤を継ぐのではなく、父の政治の志を継いだのである。
以下、江田五月の考え方を拾った。
国家観
政治とカネ
「非課税の特典」を与えられた政治資金の収入と使途を、もっと具体的かつ詳細に報告するのが、国会議員の義務だと思う。
「政治資金規正法」改正後、パーティは金集めの主流となってしまった。
工事の発注に尽力することの見返りとして百枚単位でパーティ券を押しける。
利権の構造も人のつながりであるから、後釜に先代と縁もゆかりもない者を据えれば、そのまま維持することはできない。
教育
家庭科、音楽、体育などは点数をつけることに意味はない。好きになってもらえばいい」
こうやって江田五月の考えを眺めてみると、特に「政治とカネ」については、この本が刊行された1990年以降の30数年、日本は全く変わっていないことに愕然とする。改革を怠った結果が、現在の政権与党の体たらくである。
そして政権のあり方については、「政権の取れる野党の連合を目指して、少々のアバタもエクボと見る訓練を開始すべきだ」。そして「野党はお互いのケンカをやめなさい。腕を組んで自民党のライバルとしての能力を磨きなさい」と野党へ提言している。現在の2024年夏にもあてはまる。これも同じテーマである。経済面での日本の凋落は、政治面からから眺めると同じ景色が見えてくる。さて、日本よ、どうする。
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