「名言との対話」12月26日。山田政雄「娘を元気に育てたい」
山田 政雄 (やまだまさお 1927年12月26日〜2015年1月21日)は、日本の経営者。 山田養蜂場 創業者。
徳島県出身。1960年、娘が先天性の心臓疾患をもって誕生し、山田は「何とか元気に育てて、心臓の手術をさせたい」と決意する。ローマ教皇ピウス12世が危篤状態から奇跡的に回復したのにあずかったのがローヤルゼリーということを知って、ミツバチを飼い、独自にローヤルゼリーを大量生産する技術を習得する。娘は大切な命を落としはしたが、多くの人の健康を守るためにもっと研究し、ローヤルゼリーをたくさんの方に届けなければならないという使命に目覚める。
その後、家族経営で生産した蜂蜜やローヤルゼリーを卸や催事で販売していた時代を経て、通信販売による健康食品や化粧品の事業へと拡大・発展していく。
山田養蜂場のホームページによれば、元々は同じミツバチの幼虫であるが、女王蜂となる幼虫のみがローヤルゼリーを与えられて育ち、体の大きさは働き蜂の約2~3倍となり、寿命は働き蜂の1ヶ月に対して3~4年となる。そして毎日約1500~2000個もの卵を産み続けるという驚異的な生命力を支えているのがローヤルゼリーだと紹介している。
2019年に河口湖庭園に建つ「ふじさんデッキ」訪問したことがある。高さ13メートルの展望台で富士山のきれいな全貌を目におさめることができる新しい名所だ。この庭園は春には桜やツツジ、初夏にはラベンダー、秋には紅葉、冬には大温室で育成中のハーブと花を楽しむことができる。
この庭園の園主は志村忠良という人だった。3歳の孫がアトピー性皮膚炎になる。ローズゼラニウムというハーブの乾燥葉をすすめられて風呂に入れて試すと痒がらなくなる。サトウキビのアルコールで抽出液をつくり孫に持たせる。同じ悩みの人たちに分けてあげると大きな反響があった。化粧品として認められたが、原料の供給が間に合わなくなる。考え抜いた末に「大きい会社でなくていい、信頼される会社にしていこう」「主原料は自分たちの手で栽培していこう」と決心する。ナチュラル倶楽部のマークは、「おじいちゃんの愛情」の姿だ。
この物語には感銘を受けた。この園では、ふじさんデッキの女性スタッフ、温室の青年、ナチュラル化粧品の販売所でハーブティを出してくれた女性店員など、誰もが親切に声をかけてくれる。「いい仕事をしている」という意識を感じる人たちだった。園主の理念が隅々まで浸透していると感じた。
私が通っているオステオパシーという体の施術をする院長からは、自分の体の不調をなおすために試行錯誤を重ねて、資格をとり、多くの人を救う仕事をることになったと聞いている。
どれも自身だけでなく、娘、孫という肉親の治癒のために、必死で独自に研究を重ねていく中で、自然な形で事業にいき着くというケースである。こういう創業の物語をもつ企業は良心的な商品やサービスを継続的に提供しているケースが多いように思う。