「名言との対話」。6月5日。西野皓三「人生は呼吸で決まる」
西野 皓三(にしの こうぞう、1926年10月29日 - 2021年 6月5日)は、西野バレエ団の創始者で西野流呼吸法・西野塾主催者。享年94。
大阪府出身。大阪市大医学部在学中に宝塚歌劇団男子部に入団。宝塚音楽学校でバレエ教師。ニューヨークのメトロポリタン・オペラ・バレエスクールに留学。
1953年に西野バレエ団を結成。金井克子、由美かおる、奈美悦子らを擁する「レ・ガールズ」の伸びやかな姿はよく見かけたものだ。
1975年の50歳のときに、合気道に入門。植芝吉祥に師事し合気道師範。中国拳法師範となる。その後、西野流呼吸法を始める。東京、大阪に西野塾を開くき、小学生から90歳台までを教える。この塾では由美かおるも指導者として活動していた。
西野流呼吸法は「基本」と「対気」で構成される。基本は深い呼吸法の習得である。対気では1対1で生命エネルギーを交流しあう。この呼吸法では、体に触れていないのに相手が吹っ飛ぶことがあり、この不思議な映像で何度か見かけたことがある。
仙台時代の友人の富田秀夫さんがこの西野流呼吸法で永年修行をしていて、折に触れてよく聞いていた。富田さんが6年前の76歳の時に前立腺がんのステージ4と診断されたことがある。私も心配したが、大学では取り組んでいない免疫療法でわずか数か月でがん細胞がなくなるという奇跡を体験し、医学の学会でも報告されている。この不思議さの原因はわからないのだが、西野流呼吸法の実践で、体の細胞の免疫機能が強化されていたからではないかと言われている。
富田さんはこの西野流呼吸法の指導者でもある東北大学医学部の貫和敏博教授に毎週習っていた。貫和先生には私も一度会ったことがあり、西洋医学では解明できていない人体の不思議さの研究をしていると語っていた。
富田さんから、人間の脊髄に古来から埋め込まれた運動脳が眠っており、ある訓練によってそれが呼び起されて、相手の身体が吹っ飛ぶのだという貫和先生の見立てを今回教えてもらった。
人間という小宇宙には解明されていないことが多くある。医学の目覚ましい進歩はあるが、「生命」の不思議さの解明にはまだまだ届いてはいないことは、この西野流呼吸法の事例からもうかがえる。「呼吸」が大事だとは、体に関わるあらゆる訓練法でよく聞く。私もヨガを10年近くやっており、呼吸法が基本であることは身に染みている。
西野先生が創始した呼吸法の理論を記した著書『人生は「呼吸」で決まる』の題名を名言として採ることにした。体の隅々まで、つまり体を構成する細胞に届くまで深い呼吸をすることで生命エネルギーを活性化させることができる。そのことが私たちに与えらえた天寿を全うすることにつながるのであろう。 そう、理解しておこう。