「名言との対話」11月18日。谷田利景「あなたの会社の魅力を堂々とお客様に言うことができますか」
谷田利景(1926年11月18日ー2018年2月20日)は、日本の経営者。
愛知県名古屋市生まれ。教員、繊維商社勤務後、28歳でスタンドバー「ニッカバー・ナゴヤ」を始める。カクテルブームで店は繁盛する、中でもレモンを使ったカクテルが人気だった。
1957年、レモン飲料の製造販売会社「ニッカレモン株式会社」(現ポッカコーポレーション)を立ち上げる。多くの人が冬の寒い日によく手にした「ポッカレモン」の誕生である。
また、当時は缶コーヒーはビンでしか飲めなかった。谷田は缶につめて発売することを思いつく。世界で初めての「缶入りコーヒー」とそれを売る「冷温兼用の自動販売機」を世に送り出すことに成功する。谷田は暖かい缶コーヒーの元祖である。
1982年に社名ををポッカコーポレーションとした。1988年に東京証券取引所 1部上場する。社員のほぼ 1割が研究開発に従事しするという商品開発力によって続けた。そして1998年、41年務めた社長を後進に譲り、取締役会長となる。退任後は「NPO食・尾張プロジェクト」を設立し、尾張の食文化「きしめん」の再興に奔走する。また、「商品開発カレッジ」を立ち上げ、若手開発マンの育成に尽力し、中部地方の人材育成と地域の活性化に貢献した。
2011年サッポロホールディングスの子会社となり、2013年ポッカサッポロフード&ビバレッジとなっている。
アイデアマンだった谷田は、ゴルフでも「ポッカ」の名前を広めようとニッカボッカと呼ばれるズボンを身につけてプレーをする。独特のポッカニッカボッカの「ポッカ」の谷田さんとしてプレーをして話題になる。
社長退任後に立ち上げた商品開発カレッジでは、「あなたの会社の魅力は何ですか?」と聞き、お客様に正々堂々と語ることをできますか、という問いをしていたというエピソードがある。自社の商品のことを熟知し、その魅力を本当に信じていますかという問いである。サービス企業で働いた経験がある私にも、この問いに「語れます」と自信をもって回答することは案外難しいものだということがわかる。ビジネスマン誰もが真摯に自答すべき究極の問いである。
それができるためには、営業や開発部門だけでなく、商品の特徴を知ることは当たり前で、お客様の感想や意見を丁寧に聞き、それから出てくるヒントやアイデアを開発や製造の担当者に伝え、一緒に商品を育てていくという姿勢が必要になる。そういった経営のダイナミズムを熟知したポッカコーポレーションの創業者・谷田利景の経営の極意だったのだろう。
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