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「名言との対話」(平成命日編)1月29日。上 笙一郎「自分で学びとろう、という姿勢が一番大事だ」
上 笙一郎(かみ しょういちろう、1933年2月16日 - 2015年1月29日)は、日本の児童文化研究家。
埼玉県飯能市生まれ。1945年、文化学院卒。売文業をしながら児童文学、女性問題を研究し、青地晨に師事する。妻は、女性史研究家の山崎朋子。共著で『日本の幼稚園──幼児教育の歴史』(ちくま学芸文庫)があり、 で毎日出版文化賞を受けている。
1981年、共著『光ほのかなれども』で日本保育学会保育学文献賞、1990年、『日本児童史の開拓』で日本児童文学学会特別賞、2006年、『日本童謡辞典』で日本童謡賞、三越左千夫少年詩賞特別賞受賞。その他、児童文学作品、児童文化評論、編纂など多数。
大衆児童文学、童画、童謡なども視野にいれた,幅ひろく、児童文化のあらゆる領域に精通しており、体系的な研究で知られる。
妻の山崎朋子の講演録を聴いて感銘を受けたことがある。彼女の『サンンダカン八番娼館』とそれをもとにした映画をみている。
山崎朋子は、「自分の眼」で見て、、、、そういう人を、多くの男性の中から「選んだ」のである。たまたまではない、と語っている。そして、ひたすらに男性の「思想・人柄」を見ようとしていた。、、、その人の「志」というものの有り無しを「選びの規準」としていた。人を取り巻く諸種の「条件」の有利・不利によって人生のつれあいを選ぶのでなく、人の「志」を「もって選ぶこと。そして、自分が生きた証をこの世に残すには、みずからの「心を刺した」主題を、その望み選んだ形において実現するしかないだろうという。その山崎朋子が選んだ男性が上 笙一郎だ。
山崎朋子は、上 笙一郎から、「自分で学びとろう」という姿勢が一番大事だ。書くことが最大の勉強になる、良い修行になる、とアドバイスを受け、自分のテーマを追う「アジア女性交流の歴史を掘りおこす仕事」を題材にした「自分の会」をつくった。
児童文化と女性史というテーマで優れた仕事をしたこの夫婦の特色は、独学で学ぼうとする、潔い態度である。そのことに感銘を受ける。