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「名言との対話」9月16日。山川千秋「先進国の中で、日本だけが、手仕事の世界を失ってしまいました」

山川 千秋(やまかわ ちあき、1933年9月16日 - 1988年10月9日)は、フジテレビ解説委員・ニュースキャスター。

東京都立小山台高等学校を経て東京大学法学部卒業後、1959年フジテレビに入社。1960年フルブライト留学生として渡米、イリノイ州のノースウエスタン大学院ジャーナリズム科で学んだ。1968年ニューヨーク特派員、その後ロンドン特派員。この間、欧州・中東諸国を歴訪、取材する。キャスターを務めた後、ワシントン支局長を経て、1975年に解説委員及びニュースキャスターとなる。国際感覚にあふれたキャスターとして活躍。闘病のため、1988年降板し、定年退職、死去。

『日本人が見えてくる本 ― テレビでは話せない、もう一つの日本人論(21世紀ブックス)』(1981年、主婦と生活社)。『山川千秋の「キャスター自画像」』(1981年、講談社)。『あなたは国際派それとも ― 国境と海からの証言』(1982年、集英社)。『死は「終り」ではない 山川千秋・ガンとの闘い一八〇日』(1989年、文藝春秋。妻・穆子との共著)。

1981年に書いた本。山川千秋『日本人が見えてくる本』(21世紀ブックス)。今年2021年の40年前の1980年の日本はどういう姿だったかがわかる。

「20年前(1960年)、日本とアメリカのGNP比は1対12、そして現在(1980年)は1対2」「GNP3位」(1980年はアメリカ、日本、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、中国、、。2020年はアメリカ、中国、日本、ドイツ、イギリス、インド、フランス、イタリア、カナダ、韓国、、)
「何にいちばん驚いたかというと、日本という国に日本人しかいなかったということだね」(あるイギリス人)。「日本の人口約1億1700万人(1980人)韓国人約60万人」(現在の特別永住者と中長期在留者は257万人)
「日本の人口は、、中国、インド、ソ連、アメリカ、インドネシア、ブラジルに次いで世界で7番目」。(日本の人口は1億2,622万7,000人。中国、インド、アメリカ、インドネシア、パキスタン、ブラジル、ナイジェリア、バングラデシュ、ロシア、メキシコ、日本は11位)
「日本人というのは、のんべんだらりと働くのはうまいんだが、集中的に、短時間、カーッと働くのはダメですねえ」(ソニーの盛田昭夫会長)
「日本のOLたちも、お茶汲みをさせられています。、、、毎朝1時間くらい、お茶くみに時間がとられる、、」
「日本のサラリマンは、まず最初に企業がある。企業の中に、たまたま自分という一個の人間が属している」「社用族のすさまじさ」
「アメリカ人よ。もっと貯蓄をしてほしい。日本人のように、と嘆願する時代なのです」(貯蓄率ランキング:1位中国、5位ドイツ、10位フランス、オーストラリア11位、アメリカ12位、ロシア14位、日本21位)
「国家公務員上級試験甲種の主要官庁での採用者570人、東大卒は46.2%、課長以上62.3%、局長以上81.7%」(総合職:東大256人、京大115人、北大80人、岡山大78人、早大77人、慶応大68人、東工大67人、東北大65人、千葉大57人、中央大56人、九大56人、広島大54人)
TOEFL。「日本人の英語力は106ヵ国中、85番目(1971年)。「英会話は、戦後30年間、ずっとブームを続けている」(日本は、全170カ国中146位)。
「アメリカは貧しくなったなあ」「昭和20年代のアメリカは、ともかくも金持ちでした」(一人当たりGDP:アメリカ5位、ドイツ16位、カナダ20位、イギリス22位、日本23位、フランス24位、韓国27位、台湾31位、、)
「カリフォルニアよりも小さい国土に、443校もの大学が必要なのか?」(日本の大学数は788校)
「本当のアメリカである地味な農業地帯、田舎へはだれも行こうとはしません」(ハワイ・グアムを除けば、東海岸と西海岸への旅行がほとんど)

警告がある。

ライシャワー元駐日大使が日本に対しいちばん危惧している点は「日本の孤立です」「知的孤立」「他の世界とおよそかけ離れた奇妙な方向へひとり歩きする可能性がある」。
「いちばん身近な、親類みたいなインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイのASEAN諸国の人々とうまくやれないのに、より遠い白人社会とうまくやっるわけがありません」
「先進国の中で、日本だけが、手仕事の世界を失ってしまいました」「三十年後(2010年)には、器用さのイメージは、日本からASEAN諸国へと移り変わっても何の不思議もないのです」

山川千秋の名前と顔は、テレビでよく見かけていた。今回、40年前の1981年発行の著書を読んだ。日本が1985年以降の短い絶頂期、あるいはバブル景気の直前の上り坂の時期である。現在とは隔世の感もあるが、「警告」には今なお聞くべき内容がある。世界の中に、特に近隣に友達がいない国である日本は、孤立すると暴発する可能性がある。

そして「手仕事の日本」の衰退は、続いているようだ。最新の技能五輪アビリンピックでは、金メダル数は中国、ロシアが圧倒的に多く、以下、韓国、スイス、台湾、に続く7位タイグループ(6か国)にいる。情報ネットワーク施工と産業機械組み立て部門だ。

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