タスクマネジメントの3つのポイント ~新卒研修資料より~
家に閉じこもっているから実感が薄いですが、春です。新生活の季節です。
CAMPFIREにも新卒メンバーが加わってくれました。ありがたや。
そんな彼ら・彼女らのために研修コンテンツを作成したので、せっかくなのでここで一部公開してみます。誰かの役に立てば幸いです。
テーマは「タスクマネジメント」です(ドキュメンテーションについてはまた別の機会に)。
新卒に限らず、ビジネスパーソンにとってタスクマネジメントは重要なスキルです。一部マイクロマネジメントが行われてる組織や、ルーチンワークを担当している人にとってはそこまで必要ない場合もありますが、限られた時間で早く成果を最大化させるためには、なるべく早く身につけておきたいですよね。
ただ、自分も含めてこれが苦手な人が意外と多いのです。予定通りに仕事が終わらない、いつまでも先延ばしにしてしまう、自分の担当が終わらずにチームに迷惑をかけてしまう…など。しかもこれは仕事の経験を積めばいつか勝手に身につく類のものではなく、意識的に習得しようとしないと身につかないのが悩ましいところ。
そんなビジネスパーソンの永遠のテーマでもあるタスクマネジメントにおける大事な考え方、特に組織で働く上で求められるタスクマネジメントのポイントを3つを、新卒メンバーに贈りました。
(予めハードルを下げておきますが、基本的なことしか言ってません…)
1.チームでのタスクフローを意識する
例えば「プレスリリースを出す」という組織としてのタスクが発生した場合、それを各個人のタスクに分解して各タスクの前後関係をフローとしてイメージする必要があります(慣れるまでは頭で思い浮かべるより実際に書いてみるのがオススメ)。その中で重要なのが、後続タスクに必要なインプット、そしてクリティカルパスの存在です。
後続タスクに必要なインプットが揃っていない状態で次に進むと、手戻りが発生したり後続タスクでやたらと時間がかかってしまいます。それを防ぐために、何のインプットが必要なのか、またどれくらいの粒度のインプットが必要なのかを最初の時点で確認しておくことで、無駄な時間のロスを減らせます。
クリティカルパスは「重大な経路」という意味で、タスクフローの全工程を線で結んだ時に最長となる経路のことです。つまりこの経路上のタスクのどれかが遅れると、それに引きずられて全てが遅れてしまいます。逆にいうと、この経路に乗っていないタスクは多少余裕があります。上記の例で言うと「文章作る」は1日遅れても全体の進捗には何の影響もありません。よって仮に人手が足りずに取捨選択しなればならない場合、クリティカルパス上のタスクを優先して処理すれば、全体の遅れのリスクを最小化できます。
次にボトルネックを探すことが求められます。例えば「イラスト作る」が5日もかかってしまっていると、他のタスクをどんなに効率化したところで全体が早くなることはありません。ボトルネックを見つけて改善しにいく姿勢が常に求められます。
もし自分がボトルネックになっていたら、他の仕事を優先して後回しにしてしまっている場合は優先度の見直しを、スキル的にどうやっても早くできない場合はサポートを求めるなどの打ち手が必要です。
もし他のメンバーがボトルネックになっていたら、ヒアリングして原因を特定し、例えばインプットの量を増やしてあげたり、作業のサポートをしてあげたりする打ち手が必要です。もしどうやっても解消できない場合は、早めにタスクを開始するという打ち手を取るしかありません。
このように自分のタスクだけでなく、チーム全体のタスクフロー、そしてクリティカルパスやボトルネックを意識することで、効率的に仕事を進めることができます。ここに外部のステークホルダーが入るとより一層難易度が上がるので、まずは自分のチームで経験を積んで慣れるようにしましょう。
こちらは参考まで。ザ・ゴールは漫画版も出てるのでオススメ。
2.タスクをカテゴライズする
これは個人のタスクマネジメントにおいても、チームのタスクマネジメントにおいても通ずる考え方です。
ポイントは領域②【価値】と領域③【錯覚】です。
領域②【価値】は主に「準備や検討に時間がかかるけど成果が大きいもの」です。例えば新企画の立ち上げとか、業務プロセスの改善とかです。
領域③【錯覚】は主に「すぐに結果は出るが積み重ねても成果が大きくならないもの」です。例えば問い合わせ対応とか、会議への出席などです。
よくあるアンチパターンは、領域①【緊急】と領域③【錯覚】に忙殺され、かつ何となく結果が出ているのでそれに満足してしまい、領域②【価値】に割く時間を取れないパターンです。これだといつまで経ってもこの状況から抜け出せず、大きい成果を出せないまま時間ばかり過ぎていきます。
誤解されたくないのですが、決して領域③【錯覚】をやらなくていいわけではなく、言いたいのは領域③【錯覚】を効率的に捌いて、領域②【価値】に充てる時間を捻出できるように工夫すべき、ということです。会議を短縮したり、そもそも問い合わせを受けないような仕組みを作ったりして、効果を出すための仕事に向かう時間を作りましょう。
GTDは自分のプライベートのタスクマネジメントに使っています。TrelloのInboxに思いついたタスクを突っ込んでいって、一つずついつやるのか振り分けていきます。これと上記のマトリクスを組み合わせて、自分なりの振り分けロジックを作るのがオススメです。
3.できる限りチーム内で共有する
エンジニア界隈ではもはや当たり前になりつつありますが、自分のタスクの進捗状況をオープンにすることは、チームのパフォーマンスを上げるために必要です。しかし、意外とこれに対して心理的なハードルを持っている人は多いと思います。自分のタスクが遅れている場合、それをオープンにすると「自分がダメなやつ」であると公表しているように思ってしまい、隠したくなる力学が働くのです。
もちろんマイクロマネジメント組織では監視のために報告させるところもありますが、我々の組織は一人一人に責任と裁量を持って動いてもらうことを願っているので、監視のための共有ではないと強調したいです。
共有の目的は遅れ・ズレ・トラブルの検知を早くすることです。どんなに毎日コミュニケーションを取っていても、マネージャーが全員の進捗状況を事細かに察知するのは無理です。「便りが無いのは良い便り」と言われるように、何も共有がないのであれば上手くいっていると思ってしまいます。またマネージャーがうっかり変更点を伝え忘れてしまい、期待する結果とズレてしまうこともあります。仕方ない、人間だもの。
日々自分の状況を共有することで、遅れやズレを検知できるチャンスが増えるのです。
ただしこれについても誤解してほしくないことがあります。共有してさえいれば誰かが拾って指摘してくれるだろうと、他力本願にはなって欲しくないという点です。忙しい時は人のことを気にかけられない時だってあります。「共有してたのに言ってくれなかった」と人のせいにしても何も始まりません。自分でも最大限注意しつつ、加えてチームにも共有することでリスクを最小化するという考え方を持って欲しいなと思います。
まとめ
ここで挙げた考え方は決して万能ではなく、あくまでCAMPFIREぐらいの規模の組織に必要だと思う考え方です。組織が変われば最適な方法も変わります。
巷には様々な方法論がありますが、短絡的に「これを使えばまるっと解決するだろう」と考えるのではなく、自分たちの組織に合う「より良い方法」を常に探す意識を持つことが、タスクマネジメントスキルを身につけるための必須条件だと思います。
…さて、新卒の子たちには伝わったかな?