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復元音読遊び

読む力を伸ばす素朴で有効な方法としての復元音読遊び

 次の空欄□を復元しながら音読してみてください。
私には□がある。それは、いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の□□たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢である。(キング牧師の演説より)
 出題者は、正しく復元できるまでヒントを与え続けます。例えば、
ヒント1 「希望」と同じ意味の言葉。
ヒント2 カタカナだと「ドリーム」。
ヒント3 漢字で1字、平仮名で2字。
ヒント4 平仮名では「ゆ」から始まる。
ヒント5 「くさかんむり」の漢字だよ。
ヒント6 先まで読むと、同じ漢字が出てくるよ。
 あなたは、何番目のヒントで復元できましたか?
 復元音読遊びの手順は次のようです。
①原文の中のいくつかの文字を空欄にして書き写す。それが復元音読問題になる。
②それを相手に渡して、復元音読してもらう。
③問題作成者は、復元音読を聞きながら正誤を点検する。
④復元できるまでヒントを出し続けて、一緒に楽しむ。
 この遊びには次のような学習効果があります。
①復元音読問題を作る際に文章を丁寧に読む。
②復元音読する人は、文脈から空欄に入る言葉を想像しながら、問題文を読み込む。前後の文脈を手がかりに想像力がはたらく。
③ヒントを出したり、ヒントを手がかりに考えたりする中で、文章の内容や表現についての理解が深まり、想像力が高まり、語彙が豊かになる。
 そしてこの方法は、国語科の学習だけでなく、他の多くの教科の学びにも役立ちます。試みに、国語科以外の教科でやってみてください。きっと、確実かつ着実にその教科。領域にかかわる力が伸びると思います。まだやってみていないので、思いますとしか言えませんが・・・。ここに例示した文章は、教科としては社会科に属し、内容としては、政治や道徳(生き方科?)にかかわると思われます。こういう内容を国語科で扱うことができるのは、国語科という教科の特性が言語運用にかかわる実技科的であり、扱う内容としては総合科的であるという性格を有しているからであると私は考えています。国語科ってそういう教科なんですよね。国語科のこの特性についての理解も、まだ、十分に広く受け入れられていないと思われます。そして、国語科って何をする教科なんだろうと疑問を抱えたまま授業をしている先生が多いと、私は見ています。
 復元音読問題にする文章は、国語科の教科書だけでなく、他教科の教科書、教科書以外の書籍・雑誌・ネット上の情報・実用文などからいろいろ選ぶことができます。
 詳しくは、拙著『国語を楽しく』第3章「言葉が育つプロジェクト単元」に書きました。
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