冬、明け
降り積もったのが雪だけなら
僕らあんなに喚かなかった
色のない毒だとか
形のない悪意とか
情けないものに泣かされた
僕は遠くの個室に引きこもって
知らんぷり決め込んで
知らない音楽をひた漁り
そばまで至る恐怖に目をつむる
愛と呼ぶべきささやかを
見失うのが嫌だった
だから耳まで閉じたの
黙ってしまう脆弱と
行き先不明の絶叫を
避けたくって
こんな病はよくあること
寒気の晴れた外へ出て
少し歩けば治まる程度
慎重になって見渡せば
愛も安心も出会える感じ
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Writer of Wide Scence