見出し画像

再台頭する若手新世代ブルーズ・ロック 〜 ラーキン・ポー

(3 min read)

Larkin Poe / Blood Harmony

説明不要の存在になってきたラーキン・ポー。最初にここでとりあげた数年前は「だれっ?!」っていうような反応でしたが、やっぱこういう1960年代末〜70年代前半という黄金期に時代を画したブルーズ・ロック・スタイルってなんだかんだいまだ愛されているんですよね。ある意味不変。

最新作『ブラッド・ハーモニー』(2022)は日本盤も出たばかりか、なんと日本先行発売だったので大きな話題を呼び、またしても新規ファンを獲得した様子。それもこれもこの二人姉妹の確固たる指向・信念の継続あればこそでしょう。

曲が終了した瞬間に思わずもれる声を聴けば、アルバムは五人のバンド・メンバー(ベースとドラムスと鍵盤はサポート陣)による緊迫感に満ちたライヴ一発録りだったとわかり、そんなところも伝統的なマナーを堅持しているというかレトロというか、音楽本来のありかたを希求しているというか。

今回はジャケットを一瞥なさればおわかりのように “LARKIN POE” の文字がレッド・ツェッペリン・フォントになっています。音楽も、まさにツェッペリンが表現していたようなサザン・アメリカン・ブルーズを土台にしたギター・ハード・ロック一色で、刹那刹那にラーキン・ポーもツェッペリンへのオマージュを意識したなと思わせるサウンドがあります。

個人的には特に8「Kick the Blues」〜9「Might As Well Be Me」〜10「Summertime Sunset」あたりの流れにぐっと胸をつかまれるものがありますね。姉メーガンのブルージーなラップ・スティール・ギターも最高に斬れ味抜群で聴きごたえがあって、もう気持ちいいったらありゃしない。大好き。

ロック(やジャズ)におけるブルーズ要素は21世紀に入って以後どんどん薄くなるばかりで、いまやできればゼロがいいというのがトレンドなんですけども、そうはいってもですね、高年オヤジとしてはラーキン・ポーみたいな若手新世代に伝統的なブルーズ・ロックをしっかり継承し価値を共有するバンドが再出現してきているのをなんとも好ましく思うわけなんであります。

トレンドが一方に傾くと他方は思いっきり無視されてしまうというバランス感覚の欠如は居心地がとても悪くって、ブルーズ・ベースのギター・ロックが2022年にあったっていいじゃないか、そういうのが好きで応援するファンはかなりいるし、”あのころ” から現役の高齢ロッカーばかりじゃないんだぞとラーキン・ポーはしっかり示してくれています。

(written 2022.11.25)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?