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エレガンスとデリカシーのラテン・ジャズ 〜 オスカル・エルナンデス

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Oscar Hernández & Alma Libre / Visión

スパニッシュ・ハーレム・オーケストラのピアニスト、オスカル・エルナンデスが、自身の率いるバンド、アルマ・リブレでの新作『Visión』(2022)をリリースしました。新奇をてらったところのないオーソドックスな王道ラテン・ジャズで、なおかつさわやかみもあり、好感が持てますね。

ピアノ・トリオ+サックス(or フルート)+パーカッションという五人編成を軸に、曲によりトランペット、ヴァイブラフォン、追加のパーカッションが参加するというぐあい。

キューバン・ビートの効いたグルーヴ・チューンが幕開けから連続していいねと思っていたら、3曲目はエレガントなダンソーンでこれも最高。続く4「Chick Forever」はもちろんチック・コリア・トリビュート。オスカル自作の上下するメロディがやや「スペイン」っぽく、ピアノもそれらしく弾きこなします。

ダイナミックな5曲目(コンガはルイシート・キンテーロ)も、デリケートで甘い旋律を多重録音じゃないかと思うフルート・アンサンブルが奏でる6曲目もすばらしく。そうそう、ラテンでフルート(やヴァイブラフォン)が使われているの、ぼくは大好きなんですね。マチスモなブラスよりも断然。

8「Spring」ではそんなフルートとヴァイブが両方参加していて、もう最高。ラテン・ジャズというと体育会系のむさ苦しい感じだったり勢いまかせに押すようなものがあったりしますが、オスカルの本作にはエレガンス(はラテン本来の味だし)とデリカシーがさわやかに香っていて、濃厚ヘヴィ・サルサ系はどうしても受けつけないぼくだって楽しめます。

(written 2023.1.23)

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