聴きやすい王道マンデ・ポップ 〜 ナカニ・カンテ
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Nakany Kanté / De Conakry a Barcelone
ナカニ・カンテ(Nakany Kanté)はギネア出身。プロ歌手を目指し10代でスペインはバルセロナに移住したんだそう。その三作目が『De Conakry a Barcelone』(2020)で、ぼくはこれではじめて知りました。
印象としては完璧なるストレートなマンデ・ポップ。ナカニのヴォーカルもそうだけど、なんといってもギター・プレイのスタイル、どこをどう切り取っても100%マンデ系ギターで、だれが弾いているんでしょうかねえ。ネットで画像検索するとナカニもギター抱えていたりしますけど。
そんなマンデ・ギターの演奏法は、ときにコラやンゴニのスタイルを移植したのかなと思えるような部分もあり、いかにも西アフリカといった趣きで、いいですね。本当にコラやンゴニが入っている部分もあるみたいですけど。アルバムに参加しているミュージシャンたちの半数がコナクリ(シギリ)のひとたちだそうです。
残り半分がバルセロナの演奏者たちで、キーボードやベース、ドラムス、さらにホーンズなどはそうなんでしょう。コナクリのミュージシャンのなかには、バラフォンやタマ(トーキング・ドラム)、ジェンベ、カラバシといった打楽器奏者も入っているみたい。
そんなわけでコナクリとバルセロナのミュージシャンたちが半々で参加していますから、実際、できあがったアルバムの音楽を聴いても、マンデ系ながらアフロ・ポップ色はいい感じにまろやかに中和されているなといった感じです。西アフリカ色ばかり前面に出ているわけじゃなく、濃すぎない、ユニヴァーサルなポップスに仕上がっているのが好印象です。
だから、往時のサリフ・ケイタのサウンドなんかを連想させる音楽で、王道マンデ・ポップをもっとぐっと聴きやすくしたような感じですかね。ナカニのヴォーカルはほどほどで、黄金期のサリフみたいなグリオ系の鋭さや強靭さはありませんけど、これはこれで聴きやすいですよ。抜群にノリのいいアルバム・ラスト10曲目にだけ男声ゲスト・ヴォーカリストがいます。
(written 2021.1.24)