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ペルシア古典音楽の美 〜 アティネ
(3 min read)
Atine / Persiennes d’Iran
ペルシア古典音楽のスペシャリストたち五名によるグループ、アティネのデビュー・アルバム『Persiennes d’Iran』(2020)を聴きました。さわやかで、なかなかいいですよ。どこで活動しているかなどくわしい情報がないんですが、アルバム題がフランス語で、アコール・クロワゼのリリースだから、フランスですかね?
ヴォーカル、タール、カーヌーン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、トンバクという五人組らしく、たしかにペルシア古典音楽の楽器をベースとしながらも、そこにアラブ系のものもまぜているということですね。アルバム内容は完璧なペルシア音楽です。
アコール・クロワゼのサイトはもうちょっとくわしい情報を載せておいてほしいよと思わないでもないです、ほかにネット上に情報がないんだしねえ。でも音楽そのものを聴いて判断してほしいっていうことでしょうか。このレーベルのアルバムはCDでも付属の記述は簡素ですよね。
アティネの『Persiennes d’Iran』、最大の印象は上でも書きましたが、さわやかだということ。それから古典的できわめて端正だなということもあります。みずみずしい印象を残す演唱で、ヴォーカリストの腕前はそこそこかなと思いますけど、楽器奏者の演奏が一級品です。
特に目立つのはタール奏者の極上フィーリング。ペルシア伝統楽器のなかでも最重要とされているリュート属撥弦楽器で、カラカラっていうこの楽器の独特の音がぼくは大好きなんですね。以前、タールとトンバクのインストルメンタル・デュオ・アルバムのことを書いたことがありますが、タールはほんとペルシア音楽のすばらしさを実感するサウンドです。
アルバムに収録されている曲が古典ナンバーなのかメンバーの自作なのかもわからないんですが(ホントこのへんはアコール・クロワゼのサイトに書いておいてほしかった、メンバーの名前すらわからないし)、ずっと続くペルシア古典音楽のその伝統にのっとった音楽であることは間違いありません。
きらびやかでもあるけれど、しかしムダな装飾を廃し、引き締まった痩身の美を聴かせてくれるアティネ。これが現代における古典の表現だと納得させてくれる演奏ぶりで、聴き手のこちらもキリッとしますね。
(written 2021.1.27)