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みんな、いまぼくらは歴史をたどっているんだよ 〜 エディ 9V
(3 min read)
Eddie 9V / Capricorn
おととし12月ごろでしたか、デビュー作をとりあげたエディ 9V(ナイン・ボルト)。若手サブスク世代のレトロなブルーズ・ギターリスト&シンガーなんですが、二作目『キャプリコーン』(2023)が出ました。
ジョージア州メイコンにあるキャプリコーン・スタジオで録音したもので、それゆえでのアルバム題。ここはオールマン・ブラザーズ・バンド、マーシャル・タッカー・バンド、ウェット・ウィリー、チャーリー・ダニエルズ・バンド、ボニー・ブラムレットなどが数々の名作を生み出してきた南部の名門レコーディング・スタジオ。
それもあってかエディ 9Vの今作はブルーズだけでなくもっと幅広いサザン・サウンドを展開していて、ソウル/スワンプ・ロック寄りの内容になっているのが、ある意味前作以上にとってもいい。3、8曲目はカヴァー。
ブルージーなエレキ・ギター・ソロが今回も全編でたっぷり聴けますが、前作と違ってエディ本人ではないようです。メンバーのギターリストにまかせているみたいで、本人はヴォーカル中心。ドゥエイン・オールマンばりのスライドが聴けたりするので名前を知りたいな。
そのスライドがカッコいい2曲目、8曲目(ボブ・ディラン)なども特に出来がよく、聴きごたえありますね。シル・ジョンスン → ボニー・レイトな3もすばらしい。ホーン・セクションの入りかたまでまさに南部ふうで、1970年前後ごろの雰囲気満点。
ギターをさほど弾かずともヴォーカルだけでじゅうぶん魅せるエディは、歌手としてもここまでの存在なんだということを立派に証明しています。ナイン・ボルトっていうステージ・ネームがエレキ・ギターへの言及で、前作なんかはそこにフォーカスしていた感じでしたが。
2曲目が終わって3曲目に入るとき、エディがバンド・メンバーに向けてしゃべっているんですけど「great brothers, we’re tracking history right now, ya all」って。本人もアトランタ出身であり、歴史を創ってきた南部の名門スタジオでやっているんだぞっていうある種の高揚感が伝わってくるようじゃないですか。
(written 2023.2.10)