しんどいとき助けになる音楽(27)〜 エドゥ・サンジラルジ
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Edu Sangirardi / Um
ブラジルのジャズ・ミュージシャン、エドゥ・サンジラルジのソロ・デビュー・アルバム『Um』(2022)。サブスクだとちょっぴりジャケット変わっちゃいました。エドゥの姿が消えて、えんじ一色と文字だけになっていて。
サブスクってたまにそういうことあるんです。歌手ジャネット・エヴラのファーストもジャケ変更になってしまって、中身の音楽は変わらないからいいようなものの、いつもジャケで認識しているぼくなんか、一瞬オリョ??ってなっちゃいます。
ともあれエドゥの本作でいいのはコンポジションとアレンジ、特にホーン・セクションのそれですね。きわめて美しく楽しいと思えます。ストリングスもブラスもリードも複数人使っていますが、ここまでの譜面が書けるっていうのはかなりの才能じゃないでしょうか。
4「Maracutaia」で聴けるブラス・アンサンブルのビート感なんか絶妙ですし、なかでもトランペットよりトロンボーンを多用してふわっとやわらかい響きに仕上げてあるところなんか感心します。トロンボーン・ソロがあって、次いでピアノ(エドゥ)、そしてアンサンブルと、流れもみごと。
一転しておちついたテンポの5「Estrada no Mar」なんかでも、海っていうより空の雲がゆっくりゆっくり流れていくのをしばしながめているような、そんなホーン・アンサンブルのゆったり微妙な動きかたで、ほんとうに美しいなとため息が出ます。
歌手アンナ・セットンの一枚目(でもピアノはエドゥだった)で歌われていた8「Toada」ではフルート・アンサンブルのきれいさがきわだっているし、リズムの緩急も自在。ホーンズのあいまを縫うようにして弾かれるエドゥのピアノもすばらしいです。
(written 2023.9.17)