重量級の骨太なライヴ・ファンク 〜 トロンボーン・ショーティ
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Trombone Shorty / Lifted
最近この手の音楽はちょっと遠慮しておきたいとかやかましいぞと感じることが若干ないわけでもないトロンボーン・ショーティの最新作『リフティッド』(2022)。痛快な傑作であることは間違いありませんので、ちょこっとだけメモしておきます。
1曲目「カム・バック」から野太いガッツのあるファンク・グルーヴが炸裂。ホット・ワックス/インヴィクタス系みたいなぐちょぐちょ言うギター・カッティングに続きビートとオルガンとホーンズが入ってきた刹那、もうただそれだけで、のけぞりそうな快感が背筋を電流のようにほとばしります。
特にドラムスとホーン・セクションのノリと、それからトロンボーン・ショーティの声の迫力と、この三者に宿る強靭なライヴ・パワーに圧倒され、だから、つまり、こうした眼前で汗と唾が飛び散らんばかりの肉太フレッシュ(flesh)・ミュージックは最近ちょっと遠ざけたい気分のときもあるわけですが、トシとったんだなあ>自分、こういうのばっかり聴いてきたのに…。
アルバム一作全編を通しペース・ダウンしたりチェンジ・オヴ・ペースがあったりなどせず、最初から最後まで隙なくそんな極太で豪放なファンク・チューンで貫かれてあるんであれなんですけど、なかでもこれだったらいまのぼくにもちょうどいいんじゃないかと思えるのが7曲目「フォーギヴネス」。軽みがあってメロウでいいです。
カーティス・メイフィールド → レニー・クラヴィッツ系のさわやかニュー・ソウルっぽい一曲で、ちょっとアル・グリーンっぽい雰囲気もありますよね。それでもこのスウィート・ナンバーだって底部を下支えしているのは重量級のぶっといグルーヴにほかならないと聴けばわかり、それでもまあこれくらいならまだなんとか。
(written 2022.7.10)