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ここ三年の頻聴9(2022年夏 ver.)
(5 min read)
2540個以上ある過去記事をぜんぶ読みなおす機会がありました(時間かかったぁ)。それで、2019年5月に「ここ三年の頻聴 9」というのを書いていたと思い出し。
忘れていましたが(たまには読みかえそう)ちょうどまた三年経ったので、2022年夏ヴァージョンの「ここ三年の頻聴9」を書いておきたいと思います。この手のベストものを選ぶのがぼくは好きですね。カテゴリー分けしてあります。
この三年のぼくというと、坂本昌之と伊藤ゴローという二名のサウンド・クリエイターにすっかり洗脳支配されてきたとして過言ではありません。おだやかで静かで淡々とした薄塩音楽に傾倒するようになったのだってそれが遠因かも。
両者ともそこそこキャリアがあるんですが、それはハマってさかのぼってわかったことで、出会ったのはわりと最近のことですから。そして、そうした音楽傾向の基底にジャズやジャジーな要素がしっかりあるというのも、ぼくみたいな人間には格好でした。
以下、愛聴順。プレイリスト(*)だとカッコ内の数字は作成年。
1)Chien Chien Lu / The Path(2020、台湾 / アメリカ)
左右に持ったマレット二本でガンガン叩いていくファンキーな肉体派ブラック・ジャズ・ヴァイビストのデビュー・アルバム。データはないけど、間違いなくこれを近年いちばん聴いています。
2)原田知世 / ベスト of 伊藤ゴロー produces 原田知世(2021、日本)*
2017年に出会っていましたが、ここまで聴くようになるとはねぇと自分でも不思議に思うほど伊藤ゴロー・プロデュースのサウンドにもうぞっこん。ジャジーで淡々としたおだやかな薄味音楽で、知世の頼りない声が水を得た魚。2007〜22年の作品群から。
3)徳永英明 / VOCALIST BEST(2021、日本)*
坂本昌之にも2017年暮れごろ坂本冬美の作品で出会ってはいましたが、完璧に堕ちたのはこの徳永英明のシリーズ(2005〜15)を知ってから。かなり売れて坂本の出世作となった模様。全曲カヴァーですが、妙なるアレンジで化かすあまりにやわらかい卓越技に蕩けます。
4)孙露 / 十大华语金曲(2017、中国)
日本に入ってきたのが2021年だったので。一作単位で選ぶと、近年のおだやか淡々系音楽のなかではぼくの知っているかぎり最高傑作と思います。あっさり控えめな中国楽器の使いかたもすばらしく。プロデューサー or アレンジャーを知りたいっ。
5)Rumer / B Sides & Rarities Vol.2(2022、アメリカ)
イギリスからアメリカに来てピアニスト&プロデューサーのロブ・シラクバリと出会い公私とものパートナーとするようになってからは、もうすっかり落ち着いて人生の充実をみつけたという安心感幸福感が歌にも表れていますので、聴いていてなごめます。
6)Donald Fagen / The Nightfly Live(2021、アメリカ)
1982年に徹底したスタジオ密室作業で組み上げた音楽を、ワン・タイムの生演奏で再現したもの。ライヴならではの躍動感やイキイキとしたグルーヴを保ったまま一分のスキもない演奏をくりひろげるミュージシャンたちに感服します。
7)坂本冬美 / ENKA III 〜偲歌〜(2018、日本)
坂本昌之は現代日本で最高のアレンジャー(私見)なので、冬美も一つあげておきましょう。シリーズ最終作となったこれがぼくはいちばん好きですね。古典的な演歌スタンダードがここまで柔和な世界に変貌するなんて、マジックとしか思えず。
8)Kat Edmonson / Dreamers Do(2020、アメリカ)
ジャジーなリズム・セクションを軸とした伴奏に乗せディズニー・ソングの数々を、それもアッといわせる驚きの斬新アレンジで歌ってみせた、まさに夢を見ているようなムーディな幻想世界。
9)Nat King Cole / Latin American Tour with King Cole(2019、アメリカ)*
Spotifyではプレイリストですが、これは同題のCDアルバムがあります。ラテン専門家の竹村淳さんセレクトでオフィス・サンビーニャから発売されたそれと同内容になるようにしただけ。ラテンなナット・キング・コールは戦後の日本でも親しまれましたね。もとは1958〜62年発売のレコード三枚。
(written 2022.8.14)