こんなにも心地いい音楽だからいつまでも聴いていたい 〜 原田知世『恋愛小説3』
(6 min read)
原田知世 / 恋愛小説3 〜 You & Me
原田知世2020年秋のアルバム『恋愛小説3 〜 You & Me』。リリースされたときに聴いて感想をブログにもあげましたが、なんだか最近ふたたびのヘヴィ・ローテイションになっていて、なぜでしょうねえ、<知世+伊藤ゴロー>ブーム再来みたいな部分があるのかなあ、個人的に。今年に入ってから顕著ですよね。
あまりにも好きで、これこないだCD買いましたからね。聴くのならサブスクでちっとも困らないのに、これも愛好表現?各曲の演奏者を知りたいということもありました。そういったへん、ユニバーサルの公式サイトがなぜ載せないのか、実はちょっと不思議です。CD買ってよということか。
パーソネルや各種録音データなどの情報は、主にサブスクで聴いているファンなら知りたいところ。ゴロー produces 知世のばあい、いつでも演奏がいいし、『恋愛小説3』でもサウンドのオーガニックさがきわだっているので、二年経ってCDを買ったぼくはブックレットを見ながらパーソネルだけ以下に書き写しておきました。どうぞご参考に。ほんとはユニバーサルが公式にやらなきゃ。
1)A面で恋をして
・伊藤ゴロー(g、key、prog)
・佐藤浩一(pf)
・鳥越啓介(b)
・みどりん(dms)
・角銅真実(per)
・伊藤彩ストリング・カルテット
・SARA、TAIMACK(back vo)
2)ベジタブル
・大貫妙子(vo)
・伊藤ゴロー(g、key、prog)
・角銅真実(per)
・伊藤彩ストリング・カルテット
・SARA(back vo)
3)小麦色のマーメイド
・伊藤ゴロー(key、prog)
・佐藤浩一(pf)
・鳥越啓介(aco-b)
・みどりん(dms)
・伊藤彩ストリング・カルテット
4)二人の果て
・小山田圭吾(vo)
・伊藤ゴロー(key、prog)
・佐藤浩一(pf)
・鳥越啓介(aco-b)
・みどりん(dms)
・伊藤彩(vi)
・結城貴弘(ce)
5)新しいシャツ
・佐藤浩一(pf)
6)A Doodlin’ Song
・細野晴臣(vo)
・伊藤ゴロー(prog)
・佐藤浩一(pf)
・鳥越啓介(b)
・みどりん(dms)
・角銅真実(per)
・伊藤彩ストリング・カルテット
7)花咲く旅路
・伊藤ゴロー(prog)
・佐藤浩一(pf)
・鳥越啓介(aco-b)
8)ping-pong
・土岐麻子(vo)
・伊藤ゴロー(prog)
・佐藤浩一(pf)
・鳥越啓介(b)
・みどりん(dms)
・角銅真実(per)
・伊藤彩ストリング・カルテット
9)ユー・メイ・ドリーム
・伊藤ゴロー(g、prog)
・佐藤浩一(pf)
・鳥越啓介(b)
・みどりん(dms)
・角銅真実(per)
・藤田淳之介(sax)
・SARA(voice)
10)あなたから遠くへ
・伊藤ゴロー(g、dms)
・佐藤浩一(Fender Rhodes)
・鳥越啓介(b)
さてさて、この『恋愛小説3』、聴けば聴くほど沁みてきて、間違いなくこの歌手のカヴァー・ソング集『恋愛小説』シリーズ三作のなかではいちばん好みですし最高傑作でもあると思います。なんでしょう、知世の充実ぶりがいっそうきわだっていると思うんですよね。50歳を超えるか超えないかあたりから、ヴォーカルに落ち着いた丸みのある円熟味が出てくるようになりましたよね。
ゴローがつくる熟なサウンドにふわりと乗って、近年のグローバル・ポップス最大のトレンドであるオーガニック&レトロな指向性もはっきりしているし、なんの工夫も装飾もしない頼りないか細く薄い声こそが実はキモで、音楽のおだやかさ平坦さを好い向きに導いているように聴こえます。
いま2020年代はこうしたゴロー produces 知世みたいな音楽家にうってつけの時代だといえて、こういったこと、時流にうといぼくでも今年に入る前後ごろからしっかり認識できるようになりました。元日にレトロ・ポップスの記事、二日にオーガニック・サウンドの記事を上げましたが、そのときどちらでも知世に触れたのはそういうことです。
年初のあの二本の文章はぼくなりにリキ入れて書いた自信作だったんですけど、書きながらずっとあたまにあったのが知世&ゴローのこうした音世界。『恋愛小説3』だと往年の歌謡曲ヒットをカヴァーしていますから、その意味でもぼくみたいな嗜好の持ち主にはピッタリ来るんです。
今回CD付属ブックレットを読み各曲の演奏者もわかったことで、たとえば美しく切なくて泣きそうになる「新しいシャツ」でピアノ一台でのきれいな伴奏を聴かせている佐藤浩一という名前も知りました。目立たない些細な部分でそれでもしっかり効果的にデジタル・プログラミング・サウンドが使われている(のはすべてゴローの担当)のもわかりました。
ぼくにとって、結局のところいちヴォーカリストとしての知世そのひとがというのもさることながら、ゴローのサウンド・クリエイションがたまらず好きなのかもしれず、そのなかの最高のワン・ピースとして知世の声がこの上なく効果的にはめ込まれていい感じに響きくるということなんでしょうか。
(written 2022.8.26)
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