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レトロ・ジャズ・ポップスの先駆けだったと今ではわかるジャネット・エヴラ

(3 min read)

Janet Evra / Hello Indie Bossa

bunboniさんのブログで知りました。

bunboniさんとぼく以外話題にするひとがほぼいないジャズ歌手、ジャネット・エヴラ(UK→US)ですが、個人的には2018年のデビュー作『Ash Her to Dance』1曲目「Paris」冒頭の三語 “I still wonder” で惚れちゃった明瞭な発声とヴォーカル・スタイルの持ち主で大好き。

それなのに二作目『New Friends Old Favorites』(2021)はイマイチで、それでも記事にはしましたが惚れた弱みみたいなもんで、なんかちょっとモヤモヤの残る作品でした。ジャネットの持ち味はこれじゃない感があったというか。

ですから三作目『Hello Indie Bossa』1曲目「Tenderly」がうれしかった。もう一聴で快哉を叫びましたよ。これだよこれこの路線こそがジャネットの本領発揮だすばらしいきれい楽しいって、惚れなおしちゃいました。いやあ、ホント。ジャネット・エブラ、いいねえ。

それに「テンダリー」ではヴァイブラフォンがいい。さわやかだし、ボッサ・テイストなジャズ・ポップにちょうどいい色彩を添えていて、ぼくがヴァイブ好きなだけっていう理由もありますが、ここまで曲にピタっと来ているクールな使いかたもなかなかないですよ。

それで、ちょっとあれなことを以下書きますが、ジャネットのデビュー作に出会ったのが2019年でしたから、あのころまだレイヴェイはこの世界にいませんでしたし、そもそもレトロ・ムーヴメントがまだそんな顕在化していなかったと思います。

そんな時期にジャネットに出会い、こ〜りゃいいね!と思って好きになっちゃったわけですけど、一作目と同様にすばらしいこの三作目の、2023年における立ち位置を考えてみるに、こりゃもう完璧にレトロ・ジャズ・ポップスの代表作そのものです。

ふりかえってみれば2018年の一作目はそのみごとな先駆けだったように、いまでは思えます。レイヴェイもこの手のボッサ・ポップスは得意としているし、同じようなことをやっている若手歌手は実に多いです。

波風が立つところの微塵もない、ひたすらおだやなでピースフルな癒しになる薄味な音楽 〜 それがコンテンポラリーなレトロ・ジャズ・ポップスの特色なんですが、ジャネット・エヴラもそのなかに位置づけたときに(ぼく的には)理解と輝きが増すように思います。2018年デビューなんで、当時まだその波は立っていませんでしたけどね。

(written 2023.6.12)

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